生活保護引き下げ、原告逆転敗訴 二審初の判決、大阪高裁

生活保護費の基準額引き下げを巡る訴訟の判決後、「不当判決」などと書かれた紙を掲げる原告側弁護士=14日午後、大阪高裁前

 生活保護費の基準額引き下げは生存権を保障する憲法25条や生活保護法に違反するとして、大阪府の受給者らが大阪市や堺市など府内12自治体による引き下げ処分の取り消しや国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁の山田明裁判長は14日、受給者側の請求を退けた。厚生労働相の引き下げ判断は不合理とは言えず、裁量権の逸脱や乱用はなく、適法と指摘した。憲法判断は示さなかった。

 29都道府県で起こされた一連の訴訟で最初の控訴審判決。21年2月の一審大阪地裁判決は違法として処分を取り消しており、受給者側の逆転敗訴となった。

 受給者側は「失望と怒りを禁じ得ない。人権を救済する司法の役割放棄だ」として上告する方針。

 厚労省は08~11年に物価が下落したとして13~15年に基準額を平均6.5%引き下げ、計約670億円を削減した。

 山田裁判長は、08年の世界金融危機の影響で物価が下落し、生活保護の受給世帯は物価の下落分だけ可処分所得が増加したと見なして減額した厚労相の判断には、一定の合理性があると認めた。

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