笠間稲荷神社(茨城県笠間市笠間)の「御田植祭(おたうえさい)」が10日、同市石井の御神饌(せん)田で行われた。晴れ渡った空の下、紺がすりの着物に赤だすき姿の早乙女たちが、水が張られた田に横1列に並び、秋の実りの豊かさを祈りながら稲の苗を植えた。
神事には、招待者らを含め約60人が参列。御神饌田(約990平方メートル)の前には祭壇が設けられ、斎主の塙敬比古(よしひこ)権宮司が祝詞を奏上した。日本古来の趣がある「稲荷舞」「迦陵頻(かりょうひん)の舞」も奉納された。
メインの「御田植の儀」では、地元のコーラスグループによる「祭歌」に合わせ、県立水戸農高の女子生徒6人が扮(ふん)する早乙女が1列に並び、奉耕者の介添えを受けながら、すねまで水に漬かって、1株ずつ丁寧に稲の苗を植えた。
同高畜産科3年の鈴木真里亜さん(17)は「食べ物になるという思いを持ち、心を込めて苗を植えた」と話した。
植えられた稲の苗は秋に収穫し、神嘗祭(かんなめさい)で神前に供えられる。