家族の負担軽減へ…さいたまに「医療的ケア児支援センター」 11月設置へ ケア対応の保育施設、拡充視野

さいたま市役所=埼玉県さいたま市浦和区常盤

 埼玉県さいたま市は10日、2023年度当初予算編成の市長査定を開始し、推進する3事業の査定を公開した。市子ども未来局は、「(仮称)医療的ケア児保育支援センター運営事業」を説明し、23年11月ごろに同センターを設置する方針を示した。家族の相談を受け付け、市内の未就学の医療的ケア児の一時預かりを実施して家族の負担軽減を図るほか、対応できる保育施設の拡充も目指すとしている。

 市保育課によると、今年6月に統合移転を予定している市立与野本町保育園を改修して、同センターを新設し、11月ごろから運営を開始する予定。相談や交流場所を提供し、家族の負担軽減のためニーズが高い一時預かりを担う。相談・支援は年間千件、一時預かりを1日3人、年間780人と想定している。

 22年4月1日時点で、市内の未就学の医療的ケア児は33人。今月1日時点で、中央、桜、南、緑、岩槻の5区9園で、このうち20人を保育している。センターが研修などを実施して人材を育成し、市は医療的ケアを提供できる保育施設を拡充していく方針。

 事業者を公募で選定し、平日5日間の運営で、看護師ら6人のスタッフを想定している。予算要求額は国、県の交付金を合わせて1549万円。24年度以降は年間約2500万円の経費を見積もっている。担当者は「受け入れ可能な保育施設を10区に展開し、身近な施設で預けられるようにしたい」と市長に説明した。

 このほかに、市都市局の「スマートシティに向けたモビリティサービスの充実」、市教育委員会の「不登校等児童生徒支援センターの充実」について市長査定が行われた。

 市財政課によると、23年度当初予算の歳出の要求額は計約6906億円。歳入見通しは約6523億円で、歳出が歳入を約383億円上回っている。市は13日までの市長査定を経て、当初予算案を2月1日開会予定の市議会2月定例会に提出する。

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