音楽に親しむ機会を 上越市本町5二葉楽器本町店 3月2日にパティオ2階へ移転

 上越市の高田本町商店街で60年以上、地域の音楽文化を支えてきた同市本町5の「二葉楽器本町店」が、23日で同所での営業を終了し、3月2日に同市富岡のパティオ2階に移転オープンする。佐藤宣夫社長(44)は「多くの人が楽器に触れ、音楽を楽しむ機会を増やしたい」と意欲を見せる。

「より一層、地域の人に親しんでもらえる楽器店にしたい」と話す佐藤社長

 同店を運営する二葉商事は1950年、佐藤社長の祖父が創業。60年代に本町商店街に移転し、89年から現店舗で営業を続けてきた。現在は楽器の販売や音楽教室を展開。近年は軽音楽が盛り上がりを見せ、高校生らが楽器のメンテナンスに通う。
 地域の人に愛されてきた同店だが、にぎわいの中心だった商店街の人通りは減少し、併せて新型コロナの感染拡大。2020年に3代目に就任した佐藤社長は、教室や発表会などが全て中止となる事態に直面した。
 「楽器は触ってもらったり、聴いてもらってこそのもの」。商店街で楽器店を続けることに疑問を感じ、変化する必要に迫られた。
 地域の音楽文化を発展させたいとの思いから、駐車場が広く、幹線道路からアクセスしやすい大型ショッピングセンターへの移転を決意。現店舗は今後、商店街活性のために生かす計画でいる。
 新店舗には、誰でも気軽に楽器を試せるようにと、個室の試奏スペースを新設する。また中庭での音楽イベントや、アマチュアミュージシャンや教室生徒の発表の場をつくりたいと構想する。
 「音楽ってなくても生きていけるものだけど、やった方がより豊かな人生になる。そういう人を増やしたい。そのためにもさまざまな企画を考えながら、より一層、地域の人に親しんでもらえる楽器店にしたい」と意気込んでいる。

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