神奈川県、地震防災戦略を見直しへ 住宅環境の変化を考慮 新たな被害想定も

避難所運営訓練の受付で消毒する住民ら。災害時の感染症対策は新たな課題となっている=2021年6月、横浜市港北区

 首都直下地震の切迫性が指摘される中、神奈川県は2023年度から、被害想定と地震防災戦略の見直しに着手する。東日本大震災以降の住宅耐震化の進展や高層マンションの増加といった環境変化を考慮した上で、24年度中に新たな被害想定を公表。その結果を踏まえて改定する戦略を25年度にスタートし、被害の一層の軽減に向けた取り組みを市町村や企業などと進める考えだ。

 現行の被害想定は15年に公表された。相模トラフや南海トラフの巨大地震、首都直下地震、県西部地震など11種類の地震で予想される死者数や建物被害、出火件数、ライフライン被害、避難者数などを試算した。

 これを受けて16年に策定した防災戦略では、11地震の中で被害が比較的大きいマグニチュード(M)8級の大正型関東地震が発生した場合の想定死者数(3万1550人)をおおむね半減させる目標を設定。達成に向けた施策として、建物の耐震化や不燃化、津波避難対策の強化、家具の固定などを挙げている。

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