65歳、音楽家の夢再び 横浜市の平良忠信さん フォークCD、MV制作

 東京で長年にわたりIT企業を経営し、関東沖縄IT協議会2代目会長(現・名誉会長)も務めた平良忠信さん=横浜市=は昨年、65歳を迎えたのを機に経営から退き、フォークミュージシャンとして再出発しCD、ミュージックビデオ(MV)を制作した。平良さんは「まずは沖縄で知ってもらって、NHK紅白歌合戦出場を目指す」「65歳からでも夢を見ることはできる。本気です」と意気込んでいる。

 CDのタイトルは「想ひ」、5曲入りですべて平良さんのオリジナル。サブタイトル「the昭和フォーク歌謡ノスタルジー」の通り、1960、70年代の香りが漂う構成になっている。自身がji―jiの名で歌うのはタイトル曲のみで、残りは知人女性2人が歌う。琉球音階で三線を使用した曲もある。レコーディングはプロのアレンジャー、ミュージシャンの手を借り本格的に仕上げた。

 MVは幼なじみで、東京でCMディレクターとして活躍する下地隆司さんに制作を依頼し、完成度の高い作品に仕上がった。

 平良さんが音楽に深く興味を持ったのは宮古高校時代。2年まで野球部だったが、フォーク歌手の井上陽水さんや、かぐや姫らの活躍に「かっこいい」「髪を伸ばしたい」とあこがれ退部、フォークにのめり込んだという。卒業後、コンピューターに関する技術を学ぶため東海大学に進んだ。大学時代は音楽サークルでバンド活動に没頭。ボーカルとギターをこなし、作詞作曲も担当した。「レコード会社からオファーもあった」というのが自信につながっている。結局デビューはかなわなかったが、夢は心の中でくすぶっていた。

 卒業後は大手コンピューター会社の子会社などを経て、2002年に独立、コンピューターのソフトウエアやシステム開発などの「クリエイト工房」を設立した。会社が順調に成長したのを見届け、昨年8月末で経営から引退した。

 「独立して会社を立ち上げた時にも周りに無理だと笑われた。バイタリティー、負けん気だけはあるので頑張りたい。今が人生で一番楽しい」と笑顔で話した。タイミングを見てお披露目ライブも開く予定だ。

 

 CD「想ひ」の試聴・購入はhttps://linkco.re/UEBecUX3で、MVの視聴はhttps://www.youtube.com/channel/UC7QSkTcN63qF6jA_2quXjJQ

 

(謝花稔)

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