「鎌倉殿の13人」では非業の死…蒲ザクラ伝説残る北本で「範頼」が講演 迫田さん「これからもよろしく」

「石戸蒲ザクラの前に立つと源範頼を感じる」と話す俳優の迫田孝也さん=18日午後、埼玉県北本市文化センター

 平安時代末期の武将源範頼に由来した埼玉県北本市の石戸蒲ザクラが、国の天然記念物指定100年となるのにちなんで18日、同市文化センターで記念講演会が開かれた。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で範頼役を演じた俳優迫田孝也さん(45)がトークを行い、「蒲ザクラをこれからも後世に伝えて」とアピールした。

 蒲ザクラは樹齢800年の古木。範頼は現在の浜松市蒲地区で出生し、蒲冠者(かばのかんじゃ)と称される。鎌倉幕府を開いた源頼朝の異母弟になる。範頼が東光寺境内で手にしていたつえを地面に突き刺すと蒲ザクラになったという「範頼伝説」が北本市に残っている。

 迫田さんはトークで、「範頼の役をいただき、範頼ゆかりの北本の蒲ザクラと縁ができた。蒲ザクラを前に、範頼を強く意識した。範頼に代わって、これからも蒲ザクラをよろしくと言いたい。ぜひ訪れて、範頼を感じてほしい」と強調した。

 トークでは、同市教育委員会文化財保護課の坂田敏行さん(43)が進行役を務めた。坂田さんが「当市では、小学3年生が石戸蒲ザクラと範頼を学んでいる」と話すと、迫田さんは「それはすごい」とびっくり。「範頼は情熱を内に秘めた人だったようで、前に強く出る圧の強いタイプの私とは少しギャップがあった」とも明かし、来場者を笑わせた。

 頼朝役の大泉洋さんとは、役づくりを確認し合うなどのエピソードも披露した。「範頼を経験したことで、情熱を秘めて静かに演じる役柄もやれる引き出しができた。範頼にいろいろ教えてもらった」と迫田さん。

 坂田さんが「迫田さんに範頼を演じていただき、範頼の評価が上がった感じがする。蒲ザクラが満開になるころにはまたぜひ訪れてほしい」と言うと、「ぜひ来たい」と返答。北本をすっかり気に入った様子だった。

© 株式会社埼玉新聞社