200kgを超える軽量化。ル・マンに挑む改造版NASCARシボレー・カマロZL1、技術詳細とカラーリング公開

 2023年のル・マン24時間レースに特別枠から参戦予定の『NASCARガレージ56プロジェクト』が、改造版のシボレー・カマロZL1の最終デザインと技術面のスペック、およびカラーリングを公開した。

 2月17日にフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われた発表会には、NASCAR、シボレー、ヘンドリック・モータースポーツの首脳陣が出席し、その公開を見守った。

 このコラボレーション・プログラムは、ル・マンにおける3つのクラス(ハイパーカー、LMP2、LMGTEアマ)のいずれにも属さない特別枠『ガレージ56』からのエントリーで、100周年記念大会となる6月のル・マン24時間レース出場を目指している。

 車両の開発テストは2022年の夏から進められており、2023年1月のデイトナ24時間レースではジミー・ジョンソン、マイク・ロッケンフェラー、ジェンソン・バトンというドライバーラインアップも発表されていた。

 彼らはデイトナ24時間後のテストにリザーブドライバーのジョーダン・テイラーとともに参加、そこではカマロのテストカーが初めてヘッドライトを機能させて走行した。

デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでテスト走行するシボレー・カマロZL1 ガレージ56テストカー。通常のNASCAR車両にはないヘッドライトも装着している

 そして月曜日(2月20日)から始まるセブリング・インターナショナル・レースウェイでの24時間耐久テストでは、ヘンドリックが率いるエンジニアリンググループと合流する予定だ。

 ガレージ56のマシンは、今年のシボレー・カマロZL1カップカーをベースに、ル・マン24時間レースが行われるフランス・ル・マンのサルト・サーキットでの24時間レース用に改良されたものである。

 車両は自然吸気の5.8リッター・シボレーR07鋳鉄スモールブロックV8エンジンを搭載し、ギヤボックスはマニュアルではなく、5速パドルシフトのシーケンシャル方式が採用されている。

 ル・マンを主催するACOは以前、ガレージ56のマシンがハイブリッドエンジンになる可能性が高いと指摘していたが、今回の発表ではハイブリッド化という要素については言及されていない。また、最高出力等の数値も明らかにされていない。

 燃料タンク容量は約75リットルから121リットルに拡大され、ル・マンで全車に供給されるトタルエナジーズ社の再生可能燃料『エクセリウムレーシング100』が使用される。

 空力面では、スポイラーが4インチから6インチへと引き上げられ、フロントにダイブプレーン、リヤにはカナードが追加されている。また、車体重量は1580kgから1342kgと200kg以上の軽量化が図られた。

 また、プロジェクトパートナーであるグッドイヤーは、デイ&ナイト・スリックコンパウンドやインターミディエイト、ウエットなど、ガレージ56のために特別なタイヤを開発した。

 IMSAのジョン・ドゥーナン会長は「マシンのカラーは、関係するすべてのパートナーを象徴している」と述べた。

「またこれは、皮肉にも1976年にNASCARがル・マンに参戦した時の歴史に回帰している。そのときは1台は白とゴールド、もう1台は青だった」

「現在のパートナーとともに当時のカラーリングを取り戻すことは、本当にふさわしいことだ」

 NASCAR会長のジム・フランスは、「このプロジェクトの当初から、ル・マンに持ち込むマシンが真のNASCARストックカーであることが重要だった」と述べている。

「24時間耐久レースに参戦するためにいくつかの調整が行われたが、ル・マンのファンは完全なるNASCARの世界を味わうことができるだろう」

NASCARが公開した、カップ・シリーズを戦う車両(右)と、ル・マン参戦車両(左)のスペック比較

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