“2年遅れ”の10周年記念公演 諫早独楽劇場 25、26日上演

俳優として出演しながら演出を手がける荒木さん(右)=諫早市、諫早独楽劇場

 諫早市八天町の諫早独楽(こま)劇場が25、26日、創立10周年記念公演「大陸軍(グランダルメ)の寵児(ちょうじ)」を開く。新型コロナの影響で本来より約2年遅れとはなったが、寺井よしみ代表管理人は「舞台と市民をつないで世界を広げ、作品作りを通し地域文化の底上げを目指す」と先を見据える。
 同劇場は2011年6月、同市を拠点に活動する劇団、エヌケースリードリームプロ(渡邉享介代表)が、アトリエを兼ねて立ち上げた。約5年前、自身も舞台経験がある寺井さんが運営を引き継いだ。持論は「文化は高尚なものではなく、もっと人の暮らしの近くにあるもの」。音楽や落語などさまざまなジャンルの表現の場であることにこだわっている。

公演の魅力を熱く話す寺井さん=諫早市、諫早独楽劇場

 演劇は音楽や舞踊などの要素も盛り込まれるため経費もかさむ。コロナ禍の公演中止も追い打ちをかけ資金面では常に厳しい。「チームで作り上げる舞台の達成感や、客として心揺さぶられた経験が忘れられず、仲間の力を借りながら何とか続けてきた」と振り返る。
 記念公演は「地元のアーティストで、本格的な作品を作りたい」と芸術文化振興基金の助成を受け、同劇場が初めて企画制作した。脚本は、諫早に住んだことがある作家、Granous B.K Ponser=本名・木下智之=さんの書き下ろし。19世紀のフランスを舞台に、ナポレオンと共に戦った軍人たちの「夢」や「業」を描いた。
 演出は同市を拠点にする劇団ヒロシ軍の荒木宏志代表。荒木さんら九州の俳優7人が出演し、同劇場での練習も熱を帯びる。プロデュースした寺井さんは「7人の思惑がぶつかり合い、全員に主役級のおもしろさがある。ぜひ現代の自分たちに重ねてみてほしい」と見どころを語った。公演は25日午後2時と7時半、26日午前11時と午後4時半。一般3千円(前売り2500円)、22歳以下2500円(同2千円)。問い合わせは寺井さん(電090.2079.9093)。

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