エアロネクスト、日置市と指宿市で地域課題解決型ドローン実証実験を実施

同実証実験は、令和4年度鹿児島県地域課題解決型ドローン実証実験補助金事業の一環として実施した。

写真左より、エアロネクスト代表取締役CEOの田路圭輔氏、チェンジ鹿児島の中垣雄氏、日置市市長の永山由高氏、セイノーHDラストワンマイル推進チーム課長の須貝栄一郎氏

実証実験概要

内容および目的

同実証は株式会社チェンジ鹿児島がコンソーシアム代表として採択された鹿児島県事業「令和4年度鹿児島県地域課題解決型ドローン実証実験補助金」を活用して実施した。また、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub」の社会実装に向けて取り組むもので、ドローンの運航についてはドローン配送サービス事業を主体とするエアロネクストの子会社、NEXT DELIVERYが行った。

検証内容と検証ポイント

同実証では、まず日置市において、「買物代行」を想定し、日用品、医薬部外品をモニター役の地域住民へサービス提供、買い物に関する選択肢(場所・品目)が少ない条件不利地域において、買い物代行とドローン配送を行うことによる「買い物難民」の課題解決を検証。

また、指宿市においては、地元の取れたて産品を消費地にいかに短時間で届けられるかを、今回の実証では道の駅山川港活お海道から山川駅まではドローン、駅から消費地はJR九州の旅客列車で貨客混載輸送を行い、当日の夕方には消費地・博多へ到着、飲食店へ納品するまでのフローの検証を行った。

また、アンケート等を通じてサービス利用者・提供者それぞれの観点から、構築した事業モデルの「実現可能性」や「持続可能性」について検証を行った。

実証実施体制

実施内容

同事業における調査・検討を通じて把握した地域課題の一つに「買い物難民」問題が挙げられる。同実証では、ドローン物流による当該問題の解決を図るべく、お客様役の住民モニターが注文した商品で構成される「健康食品セット」(約2.4kg)の各商品を人口密集地の地元スーパーで買い物代行し、離陸地点である荻自治公民館(日置市)から高山地区公民館(日置市)までの片道約4.4kmを、ドローンにより約10分で届けた。

機体はエアロネクストが開発した日本初の物流専用ドローンAirTruckを用い、レベル2飛行(無人地帯上空での目視内自律飛行)を行った。また機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを活用した。

到着した商品は偏ったり崩れたりすることなく、無事、高山地区公民館グラウンドで待っていた地域住民モニターの手に届けられた。ドローンで届いた商品を受け取った地域住民モニターは、次のようにコメントした。

地域住民:今は様々な技術で便利になってきているが、自分が若い頃は想像もつかなかった。ドローンで物が届くなんて夢のようだ。

ドローン配送された健康食品セットを受け取る地域住民モニター(高山区民会館にて)

また、指宿市の特産品である「菜の花カンパチ」や「櫻鯛」などを道の駅山川港活お海道から集荷し、最寄のJR指宿枕崎線の山川駅付近の駐車場に着陸地点を確保し、ドローンで配送を実施した(「菜の花カンパチ」はドローン積載サイズを超えたため陸送)。その後、山川駅始発の鹿児島中央駅行きの在来線、また、鹿児島中央駅からは九州新幹線に載せ替え、博多駅まで輸送、その後、JR博多シティくうてん内の飲食店に納品され、夜の営業時間で来店客に振る舞われた。

ドローン配送された商品(指宿朝締め鮮魚)
列車に荷物を載せて鹿児島中央・博多へ配送

トラックとドローンおよび旅客列車(在来線・新幹線)を組み合わせた物流により、荷物到着までの時間短縮に加え、トラックドライバーの労働時間短縮や走行距離短縮による燃油消費量の削減等、住民と配送業者双方に様々なメリットをもたらすことが期待されるという。

写真右より、指宿市市長の打越明司氏、JR九州上席執行役員経営企画部長の赤木由美氏、チェンジ鹿児島の中垣雄氏、エアロネクスト代表取締役CEOの田路圭輔氏、セイノーHD執行役員の河合秀治氏、KDDIスマートドローン代表取締役社長の博野雅文氏

今後は、県内の様々な地域課題の解決及び地域における生活の質の維持・向上を図るべく、同実証を通じて抽出された課題の解決やその後のドローン物流の事業化を目指していくとしている。

▶︎株式会社エアロネクスト

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