古書店店主が本を貸してもらう、本を買えない移民の少年 「丘の上の本屋さん」本編映像

2023年3月3日より劇場公開される、ユニセフとイタリアが共同製作した映画「丘の上の本屋さん」から、古書店の店主リベロと移民の少年エシエンが初めて出会うシーンの、本編映像が公開された。

映像は、お金がないために本が買えずに店先に並べられた本を眺めていた、アフリカのブルキナファソからイタリアに来て6年になる移民の少年エシエンに、リベロが本を貸し与えたことから2人の関係が始まるシーン。このあとリベロは、エシエンに本を通じてさまざまな知識やものの見方、考え方などを授けようとする。

「丘の上の本屋さん」は、イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店を舞台に、年齢や国籍の違いを超え、“本”を通して老人と少年が交流する姿を描いた作品。心優しい店主リベロ役には、「フォードvsフェラーリ」「我が名はヴェンデッタ」のレモ・ジローネ。人生を豊かに形づくるヒントが詰まったリベロの”幸せのブックリスト”には、「星の王子さま」「ピノッキオの冒険」「白鯨」をはじめとした名作が登場する。また、物語の舞台となる“イタリアの最も美しい村”のひとつ、チヴィテッラ・デル・トロントの絶景や石造りの歴史ある街並みも描き出されている。

一足先に本作を鑑賞した著名人によるコメントと、子供たちに薦めたいブックリスト3冊も公開された。コメントとブックリストは以下の通り。

【コメント&子供たちに薦めたいブックリスト3冊】

①コメント ➁子供たちに薦めたい私のブックリスト3冊

■黒柳徹子(女優・ユニセフ親善大使)
本を読むことは素晴らしいこと、とこの映画は教えてくれます。
イタリアの小さな本屋のおじいさんと、アフリカ移民の少年の話です。少年は毎日おじいさんから本を借りては、次々に読んでしまいます。本の題名は、私たちの知ってる本なのも、うれしいです。本を読むことで世界が広がる。少年の未来は明るいでしょう。私たちは少年のように、わくわくしながら、この映画をみるでしょう。

■アグネス・チャン(歌手・ユニセフ・アジア親善大使)
① 実に美しい映画でした。穏やかな古本屋さんのリベロさんの日常を描かれたこの映画の中に、自由、文化、友情、愛情…とたくさんの大切なメッセージがありました。映画を見終わると、なぜか気持ちが豊かになり、本を読みたくなって、子供達にたくさんの本を勧めたくなりました。短い映画でしたが、余韻はきっと心に長く、長く残るでしょう。

② 愛蔵版「星の王子さま」著:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 訳:内藤濯 発行:岩波書店(2000年)
「おおきな木」著:シェル・シルヴァスタイン 訳:村上春樹 発行:あすなろ書房(2010年)
「ダギーへの手紙 死と孤独、小児ガンに立ち向かった子どもへ」
著:E・キューブラー・ロス 訳:アグネス・チャン 発行:佼成出版社(1998年)

■山口もえ(タレント)
① こどもの頃好きだった本はなんですか?
その本に出会った時の感動を今でも覚えていますか?
本を開く時のドキドキ、
頭の中いっぱいに広がる世界…。
特別なことがなくても、本との出会いは人生を豊かにしてくれるのです。
こんな時代だからこそ観て感じてもらいたい作品です。

②「おおきな木」著:シェル・シルヴァスタイン 訳:村上春樹 発行:あすなろ書房(2010年)
「もうじきたべられるぼく」著:はせがわゆうじ 発行:中央公論新社(2022年)
「モモ」著:ミヒャエル・エンデ 訳:大島かおり 発行:岩波書店(2005年)

■中島京子(小説家)
① 時が止まったような石造りの街の、人々が憩うカフェの隣の古本屋さん。登場する本のタイトルにもイタリアの伝統菓子にもそそられる。年老いた古書店主・リベロと移民の少年・エシエンの友情に涙した。

②「ピノッキオの冒険」著:カルロ・コッローディ 訳:杉浦明平 発行:岩波書店(2000年)
「クオーレ」著:エドモンド・デ・アミーチス 訳:和田忠彦 発行:岩波書店(2019年)
「マルコヴァルドさんの四季」著:イタロ・カルヴィーノ 訳:関口英子 発行:岩波書店(2009年)

■矢部太郎(芸人・漫画家)
① 本は世代を超えて、時代を超えて、人と人をつなぐ。誰かと本の話がしたくなりました。

②「あおい目のこねこ」著:エゴン・マチーセン 訳:せた ていじ 発行:福音館書店(1965年)
「飛ぶ教室」著:エーリッヒ・ケストナー 訳:池田香代子 発行:岩波書店(2006年)
「猫のゆりかご」著:カート・ヴォネガット 訳:伊藤典夫 発行:早川書房(1979年)

■中江有里(女優・作家・歌手)
① 悩んでいる人、さみしい人、怒っている人……心の空虚を埋めたくて、人は本屋へ足を運ぶ。
苦しんでいる人、恋する人、幸せになりたい人……そんな人を、丘の上の本屋は待っている。

②「やかまし村の子どもたち」著:アストリッド・リンドグレーン 訳:石井登志子 発行:岩波書店(2019年)
「三つ編み」著:レティシア・コロンバニ 訳:齋藤可津子 発行:早川書房(2019年)
「かがみの孤城」著:辻村深月 発行:ポプラ社(2017年)

■山崎まどか(コラムニスト)
① 見晴らしのいい小さな広場にいい古書店があって、矜持のある店主がいて、
そこで買った古本を読むのにうってつけのカフェがあって。
この小さな街はなんて豊かなんだろう。
そんな古書店がある街で子供時代を過ごし、本から学ぶ人たちはみんな
素晴らしい恩恵を受けて大人になっていく。

②「ツバメ号とアマゾン号」(上・下)著:アーサー・ランサム 訳:神宮輝夫 発行:岩波書店(2010年)
「トムは真夜中の庭で」著:フィリパ・ピアス 訳:高杉一郎 発行:岩波書店(2000年)
「男も女もみんなフェミニストでなきゃ」著:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 訳:くぼた のぞみ 発行:河出書房新社(2017年)

■安田菜津紀(認定NPO法人Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)
① 人から人へ、時を超えて手渡される言葉たちは、これからを生きる「心の杖」になる。どうかリベロの大切な本の数々が、エシエンの未来を照らし出すように。どこに踏み出しても「大丈夫だ」と思えるように。

②「ハンナのかばん―アウシュビッツからのメッセージ」著:カレン・レビン 訳:石岡史子 発行:ポプラ社(2002年)
「明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち」著:アラン・グラッツ 訳:さくま ゆみこ 発行:福音館書店(2019年)
「ぼくがラーメンたべてるとき」著:長谷川義史 発行:教育画劇(2007年)

■内田洋子(通信社(株)ウーノアソシエイツ代表・ジャーナリスト)
① 歩き疲れたり時間を持て余したりするとき、私はよく書店に入ります。ほどほどの明るさで心地よく、静かです。棚を見ているうちに、タイトルに連れられて小さな旅が楽しめる。そして書店には、本のほかにも物語がたくさん待っています。「丘の上の本屋さん」のように。

②「うそつき王国とジェルソミーノ」著:ジャンニ・ロダーリ 訳:山田香苗 発行:講談社(2022年)
「えきのひ」著:加藤久仁生 発行:白泉社(2014年)
「旅の絵本 II 改訂版(イタリア編)」著:安野光雅 発行:福音館書店(1977年)

■林直子(公益社団法人 東京子ども図書館 職員)
① 子どもは、字が読めるようになると、ひとりでに本が読めるようになるのではありません。本を手渡してくれる、リベロのような存在が必要なのです。エシエンと生涯の友・本との出会いに立ち会えて、幸せでした。

②「くしゃみくしゃみ天のめぐみ」著:松岡享子 発行:福音館書店(1968年)
「砂の妖精」著:イーディス・ネズビット作 訳:石井桃子 発行:福音館書店(2002年)
「元気なモファットきょうだい」著:エレナー・エスティス 訳:渡辺茂男 発行:岩波書店(2004年)

【作品情報】
丘の上の本屋さん
2023年3月3日(金)より新宿ピカデリー、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
配給:ミモザフィルムズ
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