【薬局とOTC薬】健保と連携した事業をOTC薬協が日薬に提案/OTC薬への切替効果でエビデンス集積へ

【2023.02.20配信】薬局におけるOTC薬の位置付けが大きくなっていきそうだ。これまでドラッグストアにおけるセルフ販売が、市場の大きな構成比を担ってきたことは否定できないが、高齢社会の進展において多角的な側面から、専門家がさらに介在した形での提供のあり方が模索され始めている。その動きの1つとして、最近、日本OTC医薬品協会(OTC薬協)は、日本薬剤師会に対して、健保と薬剤師会が連携した取り組みによってOTC医薬品のさまざまな効果検証ができないか、提案を行った。

健保の「後期高齢者支援金の減算制度」でOTC薬活用促進の動き

健保でOTC薬推進の動きが出始めている。背景にあるのは「後期高齢者支援金の減算制度」の存在。健保が被保険者に対して一定の取り組みを行っていれば支援金の減算、つまり健保にとっての財政支出軽減の施策になる。周知の通り、これまではジェネリック医薬品の推進が象徴的な取り組みであったが、ジェネリック医薬品の使用率が飽和状態となっていることが指摘される中で、新たな施策としてOTC薬への切り替えが注目されている。

昨年度に厚労省が公募事業として行ったものでは、モデル健保においては、介入によって対象患者の約15%でスイッチOTC医薬品への切り替えが起こった。加入者数1.2万人の健保で、対象患者は約3000人、このうち450人で切り替えが起こったもので、その保険医療費縮減効果は約460万円。花粉症薬などでOTC薬でも代替できる医薬品があることを周知・啓発したものだ。健保の中では、コロナの受診控えの影響を考慮すべき点はあるものの、当初予想よりも高い効果が得られたとの評価がされた。

こうした取り組みをパッケージで支援する企業にホワイトヘルスケア社がある。同社は三菱商事と東京海上ホールディングスから作られたヘルスケア分野に特化したジョイントベンチャー。レセプトデータ分析から効果の高い加入者を抽出し、啓発施策、OTC薬購入サイトを提供している。この中で薬剤師に相談できる窓口を設置している。

OTC薬協としては、こうした施策に薬局・薬剤師を加えて、薬局でも取り組みを進めることで、どういった結果を出すことができるのか、日薬に対してモデル事業をできないか提案している。
昨年12月に経済財政諮問会議が策定した「新経済・財政再生計画改革工程表2022」には、セルフメディケーション推進が記載されなかった。このことにOTC薬協は課題意識を持っており、協会からの提案や提言を拡充していきたい考え。「そのためにも数字(エビデンス)は不可欠だ」(OTC薬協)としている。

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