FD需要増対応へ9棟目の生産棟 アサヒグループ食品岡山工場

FD食品を製造しているアサヒグループ食品岡山工場

 アサヒグループ食品(東京)は、みそ汁などのフリーズドライ(FD)食品を製造する岡山工場(岡山県里庄町里見)内に、9棟目となる生産棟を整備する。高齢化の進展や共働き世帯の増加に伴うFD食品の需要拡大に対応し、年産能力を1000万食引き上げる。すでに着工しており、12月の稼働を目指す。

 FDは、素材や一度調理した食品を零下30度程度で凍らせた後、真空状態の乾燥機内で水分を抜く技術。増設する生産棟は敷地内の旧工場跡に建設する。鉄骨平屋約2500平方メートルで、予備凍結庫3室と真空凍結乾燥機1基を整備。みそ汁を調理するタンクや1食分ずつトレーに入れる充填(じゅうてん)機などから成る生産ライン1本も設置する。1月中旬に着工しており、11月の完成予定。生産能力は年間4億2千万食から4億3千万食に高まる。

 同社は「アマノフーズ」のブランド名でみそ汁やスープ、雑炊といったFD食品を販売。お湯を注ぐだけで食べられる手軽さや長期保存可能な点などから、共働き世帯や高齢者らの人気を集めている。新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要もあり、主力のみそ汁の2022年の販売実績は167億円と前年比2%アップした。23年にはさらに7%増の179億円を見込んでいる。

 岡山工場では、25年までに老朽化した既存設備の入れ替えなども予定しており、新棟の建設を含めた総投資額は22億円。さらなる需要増を見据え、将来的には新棟内に凍結庫を3室、乾燥機を2基増やす計画もあるという。

 井上正史工場長は「主力のみそ汁は各地のみそをブレンドしたり、具材に合わせて配合を調整したりして、飽きが来ないよう工夫している。今後も手軽に本格的な味わいが楽しめる商品を提供し、ファンを拡大していきたい」と話している。

 アサヒグループ食品は15年設立、資本金5億円、従業員約1200人、売上高1278億円(22年12月期)。岡山工場はFD大手・旧天野実業の生産拠点として1967年に稼働した。

岡山工場で製造しているフリーズドライのみそ汁

© 株式会社山陽新聞社