最大で400人体制となる外務省内サミット事務局の舞台裏 SNSで若者の関心を高めたい G7広島サミット

G7広島サミットの開幕まであと3か月となりました。さまざまな機関が準備を進めていますが、運営を運営を統括するのが、外務省の「G7広島サミット事務局」です。サミットの中枢ともいえる場所を取材してきました。

東京・霞が関にある外務省です。この省内の一角に事務局があります。

小林康秀 キャスター
「ここがサミット事務局の看板です。内部を撮影することはできないませんが、およそ100人のスタッフによって準備が着々と進められています。」

この日は、定例のオンラインミーティング。広島のサミット県民会議と、進捗状況の情報交換です。情報共有しつつ、サミット事務局も広島に何度も足を運びながら調整を進めています。

事務局の総括次長を務める、原琴乃さんです。前回の日本開催だった伊勢・志摩サミットにも携わってきました。

外務省 G7広島サミット事務局 原琴乃 総括次長
「広島サミットは2023年の最重要な外交行事の1つというふうに位置づけられていて、国の、そして地方の力を合わせた総力戦で、そういう形で盛り上げていく必要がある」

この日はサミットに対して地元・広島の人にもっと関心を持ってもらうための会議が開かれていました。テーマはSNSです。

外務省 G7広島サミット事務局 北川克郎 事務局長
「特にSNSですね、ツイッターを立ち上げ始めているが、もっと広島の人に知ってもらう、フォロワー数を増やすためにどうするか議論したい」

原琴乃 総括次長
「硬いまじめな内容はプレスリリースをホームページを通じて発信しているので、柔らかい広島の魅力を発信したりとか…」

SNSチームのメンバー
「在京大使館に、大使館のお写真と広島の魅力を投稿してもらうというのは考えています」

SNSを活用する目的は、広島の人に知ってもらいたいだけでなく、若い層にもサミットへ目を向けてもらいたいという思いもあります。

SNSチームのメンバー
「今回は次世代に、サミットに関心を持ってもらうのが1つの大きなテーマだと思うが、彼ら目線でツイートをする必要があると思っていて、高校講座で満を持しておやじギャグをぶちこんでも全然受けない。思いのほか認識が違う、ぼくらと高校生とは」

今、原さんたちは、広島の若い世代が世界の人と交流し、サミットを体感できるような取り組みができるよう知恵を絞っているといいます。

原琴乃 総括次長
「ぜひ積極的に参画して、特に次世代の方にはサミットだったら自分はこういうことを議論したいとか、こういう解決策を提示したいっていうのを考える機会にしてもらえるとうれしい」

事務局には経産省や文科省など関係省庁や、県や広島市などから現在、100人が所属していますが、最終的には400人にまで増やして対応します。

原琴乃 総括次長
「事務局の中には行事・食・贈呈品・配偶者・移動、いわゆる配車・空港というようなロジスティックを担うチームもあれば、それを各国と調整するチームもある」

今回は被爆地で開かれるサミット。ウクライナへの侵攻を通じてロシアが核兵器使用を示唆した今だからこそ、広島で開催する意義を強調します。

原琴乃 総括次長
「G7の首脳が一堂に会し、77年間、広島そして長崎に原爆が投下されてから再び核兵器が使用されていないという歴史をないがしろにしてはならないのであると、そういう力強いメッセージを世界に発信していくうえで、広島での開催というのは非常に意義があると考えている」

サミットで首脳たちが話し合う課題もさまざまです。持続可能な開発目標 SDGsもその1つです。原さんは、伊勢志摩サミットのあと、SDGsを推進するために外務省で政府の取り組みを取りまとめる役を担いました。

原琴乃 総括次長
「SDGsはいろんな課題が含まれていて、(例えば)気候変動が起きると感染症がまん延したり、自然災害が激甚化したりということで課題がつながっています。そういう部分が分野横断的な課題に対して取り組むうえで、首脳は大きなリーダーシップを発揮すると思います」

今回の広島サミットは、わたしたちが住む広島にどんな影響があるのでしょうか。大勢の代表団や数千人規模のメディアなどが訪れる運営面ではどうでしょう。

原琴乃 総括次長
「宿舎の確保であったり、移動手段としての交通規制であったり、万全な警備であったりということが必要になって、みなさまの日常生活、運用のご負担をおかけしますが、ぜひともご理解・ご協力をいただき、一緒にサミットを作り上げていければなと思っております」

経済面では、伊勢志摩サミットのとき、数千億円規模で観光や国際会議の誘致などに影響があったとされています。

原琴乃 総括次長
「世界中からさまざまな注目が集まって、広島の海の幸・山の幸というおいしい食や伝統文化、最先端産業まで効果的に発信していく機会になると思う。広島に将来的な投資面や観光面での還流もできてたらいいと願っている」

― 過去のサミットの写真を見てもわかるように、首脳たちが丸テーブルを囲み、胸襟を開いて自由かっ達な議論を繰り広げます。この中で自由や民主主義という基本的な価値観を共有しながら話し合えることがG7の強みだといいます。そのための準備は、そうとう大変な様子だが、今回は丸テーブルでどんな議論がされるのか注目したいものです。

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