山梨身延の宿坊覚林坊の「おてらんち」で気軽に精進料理を味わおう!

ヴィーガン、コーシャも喜ぶ大人気の精進料理"おてらんち"

覚林坊は、身延山でも歴史のある宿坊のひとつです。宿坊とは、もともと修行に訪れた僧侶のための宿泊施設でしたが、次第に参拝者や観光客にも開放されていきました。現在では、外国人旅行者からも人気を集める宿泊施設になっています。

覚林坊の歴史は長く、およそ550年ほど前に身延山久遠寺の第11世の法主(ほっす)、行学院日朝大上により開かれました。徳川家寄進の日朝堂や、夢窓国師が手掛けた日本庭園など、見どころが多いお寺としても知られています。現在では、さまざまな宿泊客を受け入れている宿泊施設として、多くの外国人観光客からも指示されている人気の宿坊です。身延山の門前町に位置している覚林坊は、周囲には身延の伝統を受け継ぐお店やスポットも多く、日本の文化を体感できます。

覚林坊では、宿泊だけでなく、ランチや食事など気軽に利用できるのもうれしいポイントのひとつです。覚林坊を訪れた人も多くから支持を集めているのが、オリジナルメニューの「おてらんち」。「お寺」と「ランチ」を掛け合わせて名付けられた「おてらんち」は名前の通りお寺で味わえるランチです。覚林坊自慢の庭園を眺めながらいただくランチは、美味しい料理だけでなく、身延の歴史と伝統も一緒に味わうことができます。

「おてらんち」は、精進料理をもとに作られているため、肉や魚が使われていません。そのため、ヴィーガンやコーシャの人でも安心して食べられます。さらに、宗教上NGな食材がある場合は、事前に相談可能とのこと。お寺での食事と言うと、敷居が高いように感じますが、覚林坊では気軽に精進料理を体験できるとして非常に人気を集めています。

おてらんちに込められた想いや食材である地場産品

「おてらんち」には、覚林坊の女将である樋口純子氏の「身延に賑わいを作りたい!」という特別な想いが込められています。その想いをワンプレートに凝縮しているため、身延地方の食材が散りばめられています。

メニューは、山梨県身延地方特産のあけぼの大豆から作られる湯葉や大豆がメイン。あけぼの大豆とは、限られた気象条件で丁寧に栽培された大豆のことで、身延地方でしか生育することができず、非常に希少なことから、幻の大豆とも呼ばれています。覚林坊の「おてらんち」では、このあけぼの大豆をふんだんに使用した料理が提供されています。

まず最初に味わいたいのが、あけぼの大豆を使った覚林坊自家製納豆。ふっくらとした大粒の大豆で作られた納豆は、臭いもなく、納豆が苦手な人でも大丈夫なのだそうです。納豆の下にはカリッと揚げた湯葉が敷かれており、食感も楽しい1皿になっています。

桜餅のように可愛らしい見た目のしんじょうは、精進料理でよく用いられるメニューのひとつ。ふんわりとした食感と奥深いだしの風味で、和食の味わい深さを体感できます。デザートは、4種のコンフィチュールを添えて提供される豆乳ソフトクリーム。山梨県で収穫された果実を使って作られたコンフィチュールと優しい甘さの豆乳ソフトクリームが非常によく合い、子供から大人まで楽しむことができます。

また、覚林坊に来た際にぜひとも味わいたいのがオリジナルの「寺(じ)ビール」。このビールには、「身延山の門前町を元気にしたい!」という想いが込められており、山梨特産のフルーツをふんだんに使ったみずみずしい味わいが特徴です。こちらも、ぜひ料理と一緒に味わってみてください。

覚林坊では、おてらんち以外にも、湯葉をふんだんに使った「湯葉御前」なども味わえるので、ぜひさまざまなメニューを体感してみてください。

覚林坊を舞台にしたガストロノミーツアーの紹介

仏教の歴史と伝統が感じられる身延では、2022年にローカルガストロノミーツアーが開催されました。ガストロノミーとは、食事と文化の関係を考察することで、料理を中心として、身延山の文化的要素に触れられるとあって、多くの人で賑わいました。

ツアーでは、身延山久遠寺周辺のガイドツアーをはじめ、久遠寺の門前町内での数珠ブレスレット作りや、お祭り体験など、山梨のみならず日本の文化を体験。早朝には身延山久遠寺の鐘つき見学や、お堂の中での朝のお勤めの体験、さらに覚林坊でのヨガ体験など、荘厳なロケーションのなかで非日常感のあるさまざまなアクティビティを体験しました。そしてツアーの目玉となったのが、食の達人を招いて作られる山梨の豊かな「食」の饗宴です。

ガストロノミーツアーのメインは、なんといっても「食」。ツアーでは、覚林坊や迎賓館えびす屋などを舞台に、スペシャルなメニューが参加者を迎えました。和ヴィーガン料理人の本道佳子氏による「野菜曼荼羅」や、創作ヴィーガン研究家・宮川昌代氏による「日本古代食ヴィーガン」といった菜食を中心にしたツアーや、山梨県出身のシェフ・堀内浩平氏が手掛ける「山梨料理」に舌鼓を打つツアー、さらには食文化研究家・長内あや愛氏とともに学ぶローカルガストロノミー食育ツアーなど、趣向を凝らした「食」を体感できるものとなっています。

ツアーでは、覚林坊自家製のあけぼの大豆の納豆を始め、湯葉や豆乳、おからで作った料理など、山梨と身延の文化と歴史を味わいつくす内容のメニューが提供され、山梨の豊かな自然を舌で感じる内容となりました。

歴史、文化、伝統、気候風土など、山梨のみならず日本のさまざまな体験ができる身延山ローカルガストロノミーツアーは、今後も開催される予定です。山梨の豊かな食文化を味わいながら、伝統と歴史に思いを馳せてみませんか?

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