パンダのシャンシャン、間もなく中国へ 上野の街は“ラストフィーバー”で別れ惜しむ

上野動物園の“アイドル”=ジャイアントパンダのシャンシャンの中国への“返還”が迫っています。返還前日となった上野の街では別れを惜しむイベントが開催されています。

2月21日の返還を前に、19日はシャンシャンが観覧できる最後の機会となりました。上野動物園には抽選で選ばれた人はもちろんのこと、選ばれなかったファンも来園し、最後のひと時を分かち合っていました。観覧したファンの中には「生まれた時から見て、ライブ映像も見てきて、自分の子どもみたいな感じかな」と話す人もいました。

そして、これまで誕生からシャンシャンを見守ってきた上野の街ではさまざまなイベントが行われています。

松坂屋上野店で行われている写真展では、およそ5年間にわたって撮影されたシャンシャンの写真920枚が展示され、すくすくと育った歩みを改めて振り返ることができます。会場には多くの人たちが訪れ、写真パネルを真剣なまなざしで見つめていました。訪れた人の中には「かわいかったけど、中国に帰っちゃうのは嫌だ」と話す子や、「きのうシャンシャンのお別れに行ってきた。その名残という感じで見にきた。お嫁に出すような感覚」と話す人もいました。

さらに店内では限定商品も販売しています。中央にパンダの顔が添えられ、ネタとご飯が交互に重なるちらしずしや、生クリームにチョコの粒を乗せてパンダの顔をかたどったショートケーキなど"シャンシャンのかわいさに負けないこだわり”の商品で中国に旅立つ上野のアイドルを盛り立てます。

さらに、シャンシャンが生まれた時から応援して盛り上げてきた上野アメ横商店街には『ありがとうシャンシャン』と感謝の思いを伝え、旅行かばんを押すシャンシャンが描かれたポスターが掲げられ、別れを惜しんでいます。お茶を販売する老舗・茶の君野園ではシャンシャンがモチーフのパッケージに入ったティーバッグも販売されていて、上野に初めてパンダが来た50年前から街を見守り続けてきた、店の堀内進さんは「(シャンシャンは)上野のシンボルみたいなもの。上野も一時期パンダがいない時もあったが、それから新しく赤ちゃんが生まれて…。シャンシャンというのは本当に力が大きい。上野にも力を頂きました」と振り返りました。

シャンシャンが誕生したのは2017年6月12日のことでした。雌のシンシンと雄のリーリーの間に生まれたシャンシャンは、10日後には性別が雌と判明し、すくすくと育っていく赤ちゃんパンダの姿を都内だけでなく、日本中が見守りました。生後100日を迎えようという2017年9月にはついに名前が決まります。32万を超える応募の中から選ばれた名前が「香香(シャンシャン)」でした。この頃には体の色も生まれた時の肌色から白と黒に変化し、よちよち歩きもできるようになり、愛らしい動きや表情を見せてくれました。そして生まれてから半年、12月に一般向けの観覧がスタートすると、その姿を一目見ようと連日多くの人が行列をつくり、上野の街は「シャンシャンフィーバー」となりました。

日本をお祝いムードに包んだ誕生から5年8カ月、ついに2023年2月19日、シャンシャンの観覧も最後の時を迎えました。最終観覧となるこの日、最後の時間帯となる「午後4時」の枠にはおよそ7000人の応募があり、選ばれた100人が多くの思い出をくれたシャンシャンに感謝の気持ちを伝えました。

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