<南風>沖縄でテーマ曲作成

 「え? 聞いたことのあるような…?」。2009年4月24日の開業に向け、県外から延べ100人に及ぶ応援者が来沖し、約1カ月かけて100万冊の本棚を作っていく。沖縄で採用した40人はコミックや児童書など本の種類ごとに15の担当に振り分けられ、棚や接客の研修が始まった。

 県外から駆けつけた研修官は夜な夜な飲み過ぎたのか、途中で吐きながら研修をしていた。県外のように電車の最終時刻をめどに強制的に飲み会は終わってくれず、連日深酒してしまったようだ。県外者にとっては、時間の縛りが少ないことも沖縄で開放的になるのであろう。思えば、県外では必要以上に分刻みの時間に縛られて日々を送っていた気がする。そんな開放感からか、那覇店の開店に合わせて、ジュンク堂グループ全体の曲が沖縄で出来上がったとの知らせが。

 え!? 書店にテーマ曲?

 “立ち読みしないで座って読んでね”“迷子になるなよ、ジュンク堂”

 軽快なリズムと、あまりにもコミカルな歌詞に面食らった。歌っているのは石垣島出身の歌手、ミヤギマモルさんだ。千昌夫さんへの楽曲提供でも知られるが、あの有名スーパーの曲「ユニオンですから」を歌っている方である。

 何とも依頼はその曲に寄せてほしいとのことだったようで、今、聞き比べると分かるがそっくりだ。この曲を聴いたベテランの応援者たちは私が悪ノリで作ったものだと思い込み、かなり立腹していたが、県外の書店が地元スーパーのように、沖縄で身近に感じてもらえるようにとの願いを込めて作られたのだった。

 そんな曲も開店以来13年間、開閉店のわずか数分だが今も店内で流れている。テーマ曲まで沖縄で仕上がった。この歌詞の通り店内に椅子を設置し、迷うほど広い書棚も完成した。そして開店へ。また次回!

(森本浩平、ジュンク堂那覇店店長)

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