陸自隊員の自殺、国に賠償命令 長期間超過勤務で疲弊、大津地裁

大津地方裁判所=2020年10月

 陸上自衛隊松山駐屯地(松山市)で勤務していた2等陸尉の男性=当時(28)=が2013年5月にうつ病を発症して自殺したのは過重勤務や上司のパワハラが原因として、滋賀県に住む両親が国に約4515万円ずつ計約9030万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大津地裁は21日、国の賠償責任を認め、約3917万円ずつ計約7834万円の支払いを命じた。

 男性の「超過勤務時間」は自殺までの1カ月間で約168時間、発症までの1カ月間で約216時間。それまでの5カ月間も月95~157時間だった。堀部亮一裁判長は、男性が多忙な部署で長時間の超過勤務を余儀なくされ、上司らは男性の実情を認識し得る状況にありながら負担軽減などの配慮をせず、男性は組織的な支援や対応を受けないまま疲弊して自殺に至ったと認定した。

 判決によると、指揮小隊長だった男性は13年3月以降、例年の2倍近くとなった自衛官候補生の受け入れなどの業務に加え、同4月24日からは野営訓練に参加。同5月9~10日ごろにうつ病を発症し、同27日に自殺した。

男性の形見である迷彩帽と本=21日午後、大津市

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