新潟県三条市が事業承継セミナー開催、地元企業の若手社長が実体験からアドバイス

土田克則取締役

新潟県三条市は21日、事業継承セミナー「後継者へのバトンパス」を開催し、事業継承に関する基本的な解説や、地元の若手社長を招いたパネルディスカッションを行った。市では3月10日にも、事業継承の講演会を予定しており、9日まで参加申し込みを募集している。

同セミナーは2016年度から毎年開催しており、今回で6回目(2019年は感染症禍の影響から中止)。事業継承は全国で大きな課題となっているが、特に中小企業や工場の多い燕三条地域では深刻である。今回の開催でも、三条をはじめ近隣の事業者や後継者、金融機関などから20人を超える参加者が集まった。

セミナーでは、SMECコンサルタンツ株式会社の事業承継士である土田克則取締役が基礎知識から承継のポイントまで解説。セミナーの中で土田取締役は自身の事業承継の経験も交えながら話し「資産の承継でなく、経営理念や従業員の技術・技能、ノウハウ、取引先との人脈といった『目に見えにくい経営資源』の承継が重要」と説き、事業承継をした経営者からもそうした部分に「苦労した」と声が上がっている現状を説明した。

兼古敦史代表取締役

信賀康宏代表取締役

セミナーの後半では、アネックスツール株式会社の兼古敦史代表取締役と株式会社カネギの信賀康宏代表取締役が登壇。自身の体験談から事業承継について語るパネルディスカッション形式となった。

兼古代表は「現在30歳代でよく若い社長だと言われるが、自分自身ではちょうどいいタイミングだったと思っている。50歳代後半だと、会社を変え続けていこうという熱やパワーを保ちにくい。できるだけ熱いうちに交代したほうが、会社を大きく変えられる。また、(代表は)自分で考えた上で失敗も経て、それを会長などに相談できる体制が大切」だと呼びかけた。

信賀代表も「(現経営者と後継者の間で)現状に不満があって、会社をより良くしていこうという気持ちであれば衝突することもある。しかし、時代の流れに合わせるところも必要。私自身がそうだったが、現状に不満がありながらも同じ職場で働いているということは、会社を良くしたいと考えているから。経営者は後継者に寄り添って対話をしてもらえれば」と話した。

3月10日に開催する第2回では、税理士法人近藤まこと事務所の近藤信代表が「事業承継に関わるお金の話&事業承継税制について」と題して講演。なお、会終了直後と14日、17日には個別相談も実施する。講演への申し込みは、下記の三条市のwebサイトから。期限は9日まで。

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