【追う!マイ・カナガワ】ウクライナ侵攻1年でアンケート 「情勢に関心」9割 国内影響は「物価高騰」

アンケート結果

 ロシアによるウクライナ侵攻から24日で1年。「追う! マイ・カナガワ」取材班は、無料通信アプリLINE(ライン)で登録した「マイカナ友だち」を対象にアンケートを実施した。情勢への関心は世代や性別を問わず高く、9割以上が「関心がある」と回答。ウクライナの人々や避難民を思いやるとともに、侵略行為への怒りや国際社会への影響に対する不安の声が寄せられた。

 オンラインで実施したアンケートには280人が回答。「非常に関心がある」(185人)と「やや関心がある」(79人)を合わせて9割を上回り、多くの人が現在も高い関心があると答えた。

 「非常に関心がある」と回答した横浜市中区の50代女性は「ウクライナの人々が気の毒。早く終わってほしい」と思いやり、鎌倉市の40代男性は「日本も参加している戦争」と指摘、「生活が逼迫(ひっぱく)し精神的余裕が失われた」と続けた。

◆憤り

 「20世紀の戦争を反省し平和な時代になるはずの21世紀に侵略戦争を起こしたロシアが許せない」と答えたのは、横浜市港南区の20代男性会社員。座間市の50代男性は「核兵器保有国の不法行為に脅威を覚える」とロシアを非難した上で、「国連安保理が機能不全になっていることへの憤りがある」と、平和が脅かされている状況へ怒りをあらわにした。世界各国が戦争を肯定する姿勢に嫌悪感を示す声も多かった。

 一方、「やや関心がある」と答えた横浜市旭区の50代男性会社員は「戦争が日常となってしまい、関心が薄れつつある」と長期化による風化を懸念。「もっと早く終わると思っていた。子どもたちにこんな戦争を見せたくない」(横須賀市の60代無職女性)、「戦略や武器の威力などが報道の中心になっている。なぜ戦争するのか、根源的な問いかけが必要」(同市の70代保健師女性)といった声もあった。

 アンケートで自身の生活や日本社会への影響を聞いたところ、7割近くが「物価高騰」を挙げた。戦地の映像を直視することによる精神的苦痛を訴える声のほか、国民の危機意識を増幅させて軍拡に突き進む日本政府の動きを懸念する声も相次いだ。

◆火の車

 「エネルギーや生活必需品の値上げは顕著で、新型コロナウイルス禍で打撃を受けている中でさらに追い打ちをかけられている」。こう口にするのは70代女性看護師。60代女性は「物価高騰や軍備のための増税など生活にも影響が出ている」と日本国内に及ぶ影響を不安視した。

 また、生活を直撃するガスや電気代の値上げに「家計は火の車」(30代女性)、「光熱費を節約するために家族で長時間リビングにいる」(40代男性)といった悲鳴が続出。「小麦を筆頭に材料費が高騰している」(50代会社役員)、「欧州の物流が滞り部品調達が遅れた」(50代女性)といった企業活動への影響を懸念する声も相次いだ。

 このほか、「資源や食料を輸入に依存する日本の構造を浮き彫りにした」(20代男性)「エネルギー供給の不安定さにつけ込んで原発再稼働の機運が醸成された」(50代女性)との指摘もあった。

◆行動

 砲弾が降り続く市街地や家族が離れて暮らす現状など、ウクライナの現状を伝える報道による心的影響を指摘する声も少なくない。

 40代女性は「ニュースを見るだけで心が痛み眠れなくなる」、70代女性も「気持ちが暗くなるのでニュースを見ないようにしている」。50代男性は「平和や安定が当たり前のことではないと意識するようになった」、70代女性は「布団の中で休めることに感謝している」と答えた。

 また「寄付しかできず無力であることを痛感した」とする声がある一方、「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)や国境なき医師団に寄付する活動を始めた」と自身の行動へと結び付けるケースもあった。

◆軍拡

 国際秩序の崩壊や隣国の脅威を「軍備増強」につなげようとする日本政府の姿勢を疑問視する声や、武力による解決を容認する“空気”の広がりを危険視する声も少なくない。

 「過剰に反応して専守防衛から攻撃的軍備を認めるようになるのが心配」と指摘したのは80代男性。50代主婦は「日本が戦争ができる国になっていくことの理由付けになっている」と懸念した。

 このほか「中国や北朝鮮も軍事活動が活発化し、他国だけの問題ではない」「ロシアが隣国である以上、日本にも影響がないとは言えない」と東アジアの安全保障を憂える意見も。「『自衛』と称して戦争のハードルが下がっている」「軍事力を強化するべきだ、という人が増えて重苦しさを感じる」といった声も目立った。

※アンケートは、LINE登録したマイカナ友だちを対象に10~13日に実施した。無作為抽出の世論調査とは異なる。

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