沖縄の31医療機関で総額24億円を過大受給 コロナ患者受け入れで国が交付する「病床確保料」、県立の6病院も

 新型コロナウイルスの入院患者を受け入れる医療機関に国が交付する「病床確保料」を巡り、沖縄県内の31医療機関で2020~21年度に総額約24億円の過大受給があったことが21日、県への取材で分かった。同日の県議会2月定例会代表質問で、我那覇仁病院事業局長が県立6病院で約14億円の過大受給があったと報告した。調査を担う県保健医療部によると、不正請求はないが金額が増える可能性があるという。
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 病床確保料は、新型コロナ感染症緊急包括支援事業に基づく交付金で、医療機関のコロナ病床が休床になる損失を補うため、県を通して医療機関に支払われる。病院機能によって異なるが、1床ごとの金額は1日1万6千円から43万6千円。
 昨年、会計検査院が全国的に過大受給が発生しているとして、各医療機関に自主点検を要求。今年に入り都道府県に調査を求めていた。
 県によると同交付金は診療報酬との「二重取り」ができない。国側は診療報酬が発生する患者退院日を空床扱いとしていなかったが、病院側は実質的に空床になる退院日を空床と扱っており、両者に認識にずれがあったという。我那覇局長は県議会で「患者の退院日を空床とするなど、計上を誤って過大に申請していた」と答弁した。
 現時点の金額は各医療機関の自主点検に基づく数値となる。県病院事業局は病院個別の金額は明らかにしていないが、23年度予算案では特別損失として14億2040万円を計上している。保健医療部の調査で確定次第、23年度内に国に返還するという。
(嘉陽拓也)
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