ACSL、カリフォルニア州に子会社設立。米国市場への本格進出を目指す

背景

ACSLは10年後の目指すべき姿「マスタープラン」を実現するべく、ACSL Accelerate FY22で定めた2025年での売上高100億円、営業利益10億円を目指しており、現状の成長ペースから加速的な成長が不可欠であるとしている。そのため、ACSLが経済安全保障ニーズに応えられることを強みとして、2023年度は日本市場における安定的な成長を享受しつつ、インド・米国をはじめとした海外市場への進出を本格化させ、急成長を実現することを目指しているという。

全世界のドローン市場は2022年度時点で30BnUSDと推計されており、その中で北米の市場規模は8.1 BnUSDとアジアに次いで2番目の大きさとなっている。また、2030年には12.2 BnUSDまで成長すると予測されており、大きなポテンシャルがあると考えられているという。

(図)海外のドローン市場、「DRONE Industry Insights」よりACSLが作成

海外では日本よりも経済安全保障や環境配慮に関する政策が加速。ドローン市場においても、米国ではNational Defense Authorization Act(NDAA)が施行され、ロシアや中国産のドローンの政府調達を禁じている。また、中国製ドローンメーカーDJI社は、2022年10月に米国国防総省によって「中国軍事関連企業」に指定されている。そうした中で、ACSLは経済安全保障・企業向け対応および用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能としている。

また、米国の展示会においては、SOTENが点検・測量などで活用できると高評価を得たという。2022年10月、2023年1月に複数の顧客先でロードショーを実施し、実務適用が可能という評価とともに、購入希望を確認。

こうした背景から、ACSLは米国への進出を本格化することを決め、米国子会社ACSL, Inc.を設立するに至ったという。

2022年9月 米国展示会Commercial UAV Expoに出展した際の様子

子会社の体制

米国での事業展開を進めるためには、現地の顧客ニーズ、規制に合わせた開発、潜在顧客に対する事業開発、機体販売後のサポート体制構築などが重要となり、ドローンの技術、事業への深い知見、現地での綿密なコミュニケーションが可能となるメンバーが必要となる。

ACSL, Inc.のPresidentにはシンシア・ホァン氏が就任する。ホァン氏は直近まで米国の大手ドローンソフトウェア開発企業であるAuterion社にて事業開発及び戦略パートナーシップを率いていた。Auterion入社以前は、中国ドローンメーカーDJI社のDirector of Business Developmentとして北米の企業向け市場戦略をリードするなど、北米のドローン市場において大きな成果を発揮してきたという。

また、ACSLにおいて技術開発や海外市場開拓を統括してきたクリス・ラービ氏が取締役に就任し、米国市場における業務執行にあたる。

ホァン氏は次のようにコメントしている。

ホァン氏:近年、米国市場では、企業向けドローンの導入と需要が急速に加速しています。しかし、ドローンを最も必要とする企業、つまり重要なインフラで事業を行う企業は、地政学的にも技術的にも合致したドローンの選択肢がないことに不満を抱いています。

ACSLは日本製であり、高度な技術を有している稀有なドローンメーカーであることから、このような状況下において大きなビジネスチャンスを獲得することができると考えています。

ACSLのドローンを米国で提供し、拡大する産業の需要に応えることができることを嬉しく思います。

子会社の概要

なお、米国の事業計画については、具体的な計画を策定しており、今後の進捗を踏まえ、業績予想の開示が可能となった時点で速やかに開示する方針。

▶︎株式会社ACSL

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