山梨身延のリアルジャパンを凝縮。外国人観光客に大人気の古民家宿「迎賓館えびす屋」

大正ロマンとモダンなニーズが融合した古民家”迎賓館えびす屋”

日本の三大仏教である日蓮宗の総本山、身延山久遠寺。これまでは、お寺を訪れる修行僧や、参拝客で賑わう門前町でしたが、時代の流れと共にその数も減少し、数ある宿坊の経営も苦しいものになっていきました。そこに追い打ちをかけるようにコロナ禍が。そうした身延の町にインバウンドという新たな風邪を吹き込もうと門前町の入口に、2020年、新たな施設がオープンしました。

それが築90年の歴史を持つ邸宅を現代に甦らせた「迎賓館えびす屋」。同地域で550年続く宿坊「覚林坊」の別邸として、一棟貸しのスタイルで国内外の多くの人から注目を集めている施設です。もともとは、身延町の唯一の造り酒屋であった名家「望月家」のプライベートハウスであった、立派な邸宅でした。しかし、時代の流れに伴い空き家となり、一時期は取り壊して介護施設を作るという話もあったのだそう。そこで立ち上がったのが、覚林坊の女将・樋口純子氏でした。

「身延を世界中のガイドブックに載る町にする」、「身延のことを誰もが知っていて、1度は行ってみたいと言われる町にする」と言う夢を持つ樋口女将は、「迎賓館えびす屋」のみならず、身延を盛り上げるプロジェクトをいくつも手がけています。

樋口さん自身も「迎賓館えびす屋」となる前から、空き家になっていた古民家のことが気になっていたのだそう。歴史的にも価値のある建築を生かし、身延のために何かできないかと考えた樋口さんは一念発起して、空き家だった古民家に「迎賓館えびす屋」としての新たな命を吹き込みました。「迎賓館えびす屋」には、身延の歴史と未来を大切にしている樋口さんの想いが、隅々まで行き届いています。

「迎賓館えびす屋」の施設紹介

迎賓館えびす屋」は、日本の古き良き建築を現代に甦らせた一棟貸しの宿泊施設です。深みのある青を基調とした内装の中には、日本建築の職人の粋を集めた技術と、西洋のレトロモダンな雰囲気が見事に調和されています。リノベーションは、地元身延の職人をはじめ、さまざまな技術を持つ人々が携わって施工されました。これまでの伝統技術を重んじつつ、最新の設備も取り入れるなど、細部まで訪れる人への「おもてなし」の気持ちが散りばめられています。

館内には現代の作家のさまざまなアート作品が展示されており、迎賓館を訪れる人の感性を刺激します。それぞれ部屋はきちんと仕切られており、プライベートな空間を確保。キッチンはアイランド式になっており、もちろん調理も可能ですが、出張シェフを呼び、地元の特産を生かしたスペシャルメニューを堪能することもできます。

浴室はフルリノベーションをして最新式の設備になっており、陶器製の風呂釜がおしゃれな空間を演出。かつて、門内エリア唯一の温泉でを復活させ、迎賓館えびす屋へ引いたことで、贅沢にもかけ流しで入浴することができます。また、裏庭ではテントサウナも楽しめるので、温泉と併せて身も心も「整う」体験ができることでしょう(サウナは要予約)。

さらに、建物の奥には川に面してデッキが設けられており、優雅なひとときが過ごせます。「迎賓館えびす屋」は一棟貸しであるため、ペット同伴の宿泊も可能です。

また「迎賓館えびす屋」には、宿泊客以外でも楽しめる施設が併設されています。その名も、「農カフェ ZENCHO」。こちらの店名は、かつての身延の名士であり、この家の当主であった望月善長氏の名前から付けられています。

カフェのテーマはローカルガストロノミー。身延をはじめとした山梨県の文化や食材を再発見し、訪れた人々に伝えることをテーマにしています。メニューはあけぼの大豆やオーガニック野菜を使い、ほうとうのカルボナーラやトマトソースなど、地元の食材を生かしたメニューが味わえます。さらに、あけぼの大豆のきなこパンや身延カヌレ、季節のフルーツのロータルトといったオリジナルスイーツもあり、地元の人からも多くの支持を集めているそうです。

えびす屋を舞台にしたリアルジャパンな体験

迎賓館えびす屋」では、訪れる人を楽しませるさまざまな催しが開催されています。近年では、身延の歴史や文化を体感する身延ガストロノミーツアーの会場にもなったのだそうです。ツアーでは、身延山大学雅楽隊による雅楽の演奏や、伝統行事を再現したお祭り体験など、身延でしか体験できないイベントが催されました。

さらに、身延町で作られた和紙を使って行われる英訳付きの写経体験やお茶体験、さらには日本の結婚式を模した着物体験など、外国人観光客に嬉しい「リアルジャパン」を感じるアクティビティも数多く提供されています。

また、特筆すべきなのが食事です。山梨身延の特徴を生かした湯葉料理をメインとしたメニューを中心に、寺町ローカルガストロノミーとして、色や文化を考察する料理を堪能できます。なかでも、手作りのあけぼの大豆納豆は、ふっくらとした食感と豊かな甘みで、国内外の人から絶賛されている逸品なのだそう。また、料理に使われている野菜も地域で収穫されたものを中心に使用し、豊かな身延の自然をそのまま味わうことができます。さらに、ヴィーガンやコーシャをはじめ、宗教上の理由で食材の制限がある場合でも、柔軟に対応してもらえるのも嬉しいポイントです。

迎賓館えびす屋」を訪れた際に、ぜひとも味わいたいのがお寺で作られている「寺(じ)ビール」です。こちらのビールも樋口女将が手掛けているのだそう。彼女の「身延に賑わいを作りたい!」と言う気持ちが込められた寺ビールは、スッキリとした口当たりでおいしいと評判で、身延の新たな名物になりつつあります。また、寺ビールに山梨県産のフルーツコンフィチュールを加えたフルーツビールもおすすめです。こちらの寺ビールは、「農カフェ ZENCHO」でも楽しむことができます。

歴史と伝統の門前町・身延にある「迎賓館えびす屋」で家族や友人と共に、リアルジャパンを体感しながら、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

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