笑福亭笑瓶さん「急性大動脈解離」で急逝、この病気の怖さとは

所属事務所ホームページより

 長年テレビなどで活躍しているお馴染みのタレント、笑福亭笑瓶さんが22日、「急性大動脈解離」で亡くなった。21日に自宅で発症し救急搬送されたが、治療の甲斐なく22日午前に息を引き取ったという。いまも出演番組を持ち、精力的に活動していた笑瓶さんの命を突然奪ったこの病気について解説する。

高血圧の人は要注意 発症すると即、生命の危機も

 急性大動脈解離という病気はほとんどの場合、慢性高血圧を持病とし、動脈硬化がみられる人が発症する非常に恐ろしい病気だ。心臓から送り出される血液を体全体に送り出す、すぐそばの「大動脈」の内側に突然亀裂が入り、そこに血流が流れ込んで大動脈の血管壁が2つに裂けてしまう。心臓からもっとも近い位置にあるため血圧は高く、場合によってはそのまま大動脈が破裂するなど非常に深刻な事態を引き起こす。

 病態は、裂ける場所によって大きく2つに分けられる。深刻なのは心臓から出る上行大動脈で大動脈解離が発生した場合だ。この場合、一分一秒を争うレベルで緊急手術が必要になる。なぜなら、裂けた大動脈からこぼれ出る血液が行き場をなくして心臓を圧迫する、裂け目が心臓本体の弁まで大きくなる、暴れる血流を止められず冠動脈を圧迫損傷して急性心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすなど、すぐに生命の危機を迎える可能性が非常に高いからだ。実際、手術をせずにいると、発症後15分では20%弱、24時間で40%弱、1週間以内に70%以上の患者が死亡するという統計データも出ている。

 上行大動脈の解離ではなく、下行大動脈以下の解離の場合、即手術の必要性は低くなる。第一選択は降圧剤などで血圧を下げ、安静にすることになる。実は笑瓶さんは2015年にも同じ急性大動脈解離で緊急入院しており、この時はどちらの大動脈が患部だったか不明だが、担当医の判断で手術はせず降圧させて安静にしてもらう措置がとられたという。しかし3週間の入院を余儀なくされ、その後も食事療法などが必要になったと他メディアの取材に答えている。

 この病気はほとんどの場合予兆もなく突然発症し、患部によっては即死に近い状況になるという本当に恐ろしい病気だが、この病気のリスクを下げるためには高血圧と動脈硬化にならない生活をするしかない。つまり、やはり健康的な食事と適度な運動を心がけることが大事ということになる。

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