横浜の小松菜農家 肥料に資材、相次ぐ値上げ コスト膨らみ限界寸前 脳裏よぎる離農

丁寧に小松菜を収穫する城田朝成さん=横浜市都筑区

 肥料や資材の相次ぐ値上げに、もはや限界寸前だ。「これ以上(物価が)上がったら、農家の『持ち出し』になってしまう。それくらいの危機的状況」。横浜市都筑区で小松菜をハウス栽培する城田朝成さん(57)は声を落とす。ロシアのウクライナ侵攻直後から1年、輸入品を中心に激しい物価高騰が市場を襲っている。農業経営に大きな影響を与え、離農の増加さえも懸念される状況という。

 計2千平方メートルのビニールハウス2棟の中には、丹精込めて作った自慢の小松菜が一面に青々と育ち、収穫のときを待っていた。城田さんは土に埋まる小松菜を引き抜くと、根を切り落とした上で手際よく販売用のテープで束ねていった。

 30年間、この野菜と向き合ってきた。小松菜の栽培に関しては「技術的にはトップ」という自負だってある。それでも、相次ぐ値上げラッシュに「現場は苦しくなる一方」と話し、温和な表情は険しくなる。

 作物を育てるための肥料の高騰の影響を最も感じている。日本では化学肥料の大半を海外からの輸入に頼っている。ウクライナ侵攻後に値上げがさらに加速した。

 「2年前に20キロ3千円だったものが、5千円くらいになった」

 想定を大きく上回る状況に驚きを隠すことはできない。資材の値上げも追い打ちをかける。梱包(こんぽう)に使う段ボールは昨年149円だった一つ当たりの価格が170円に上がった。栽培に欠かせないマルチシートや小松菜を束ねるためのテープなども、石油が原料の資材は軒並み上がっている。城田さんは「なんでもかんでも1割以上値上げしてる」と苦笑するしかない。

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