差別やヘイトにメディアはどう向き合う?報道関係者ら意見交わす 沖縄マスコミ労協がティーチイン

 沖縄県マスコミ労働組合協議会(屋良朝輝議長)は21日、レイシズムやヘイト問題にマスコミがどう向き合うかをテーマに那覇市の県立博物館・美術館講座室でティーチインを開いた。フォトジャーナリストの安田菜津紀さんと沖縄タイムス編集委員の阿部岳さんがパネリストとして登壇し、自身が誹謗(ひぼう)中傷の標的となった経験を踏まえて、差別やヘイトについて意見を交わした。

 テレビや新聞で積極的に差別問題を伝えている安田さんは、在日韓国人2世の父親を持つことからSNS上でヘイトスピーチの被害にさらされ、民事訴訟を起こしている。

 「在日コリアンが多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区で、20代の男が建物に放火する事件があった。犯人はネットの情報に影響され差別感情を抱いたと供述している。言葉の暴力は身体的暴力に結びついてしまう」と危機感を示した。

 自らSNSでヘイト問題を発信する阿部さんもまたネット上で攻撃され続けている。「報道の現場では実際に被害に遭った人の話を聞いて記事にするが、それだけでいいのかという葛藤を抱いた。時には記者自身が矢面に立つことも重要」と話した。

 県は差別的言動(ヘイトスピーチ)を規制する条例の制定に向け議論を進めているが、阿部さんは「実効性には疑問が残る」と、改正を求めて声を上げる決意を表した。

 安田さんは「報道の現場でも連携しながら輪を広げていく必要がある」と集まったメディア関係者や一般参加者に向け訴えた。

 (普天間伊織)

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