ハウス内は春色 温室桃の花満開 勝央、授粉作業進む

石川さんのビニールハウスで満開になった桃の花

 岡山県内で唯一、温室桃を栽培する勝央町石生の農業石川裕之さん(46)のビニールハウスで桃の花が満開になった。外の寒さがうそのように、ぽかぽかのハウス内はピンクの花で染まり、一足早く春の装い。ほんのり甘い香りも漂う中、授粉作業が進んでいる。

 3棟計13アールで「はなよめ」「さくひめ」「日川白鳳(はくほう)」「白鳳」「なつおとめ」の5品種を育成。今年は1月20日から加温を始め、大雪に見舞われた同25日もハウスが壊れないよう前日から温度を上げて天井の雪を溶かしながら温め続けた。花は今月12日から順調に開き始め、20日からは人工授粉に入っている。

 石川さんと母の里江さん(69)が約13度に保たれたハウス内で作業。羽毛付きのさおに花粉をまとわせ、一輪ずつめしべに付着させている。温室桃の出荷は露地物より2カ月ほど早い4月下旬を目指す。

 石川さんは「花の色づきが良く、甘い実ができそう。燃料、肥料代の高騰で経営は厳しいが、おいしい桃を届けたい」と話す。

 JA晴れの国岡山によると、町内では1990年代前半、約10戸が栽培していたが、高齢化などで現在は石川さん方だけという。

© 株式会社山陽新聞社