4年ぶりのリアル開催。大きく生まれ変わった「CP+2023」初日レポート[CP+2023]

今年、コロナの混乱でリアルでの開催が見送られていた中、4年ぶりにカメラと写真映像の祭典「CP+2023」が2月23日に開幕した。新型コロナウイルス感染症が全世界に広まり始めた2020年は直前での開催見送り、2021年と2022年はWeb上のみでのオンライン開催を余儀なくされた。

今年はカメラに特化した久しぶりの大型イベントが開催されるとあって、一般入場前から長蛇の列を作っていた。事前の登録者数は以前に比べれば少なくなっているというが、2月23日は祝日ということもあり、多くのカメラ愛好家の方々が開場を待ち望んでいたようだ。さっそくCP+2023初日に開場の様子を紹介していこう。

レフ機からミラーレス、そして高画素化と4K以上の動画撮影に対応したレンズとメディアが主流に

ちょうどコロナ渦に入ってから、キヤノンとニコンでもミラーレスのラインナップが主流に移行した。確実に市場はレフ機からミラーレス機が中心となり、今回のCP+2023はそんな市場の流れが当然反映されていた。

キヤノンブースでは当然EOS Rシリーズの「EOS R6 Mark II」と発売前の「EOS R8」、ニコンブースではZシリーズがメインに、ソニーブースでは当然αシリーズ、富士フイルムではGFXシリーズやXシリーズ、オリンパスではOM SYSTEM、パナソニックは当然GH6やS5IIを押し出し、ミラーレス機が出そろったという感じだ。

どのメーカーのブースでももちろん実機に触って試写することは以前と変わらずできるようになっているが、アルコール除菌等を各ブースで行っており、感染拡大防止対策は十分にとられているので、安心してお目当ての実機を試すことができていた。

CP+2023初日のニコンブースの様子

そして各ブースの試写用モデル等も面白いものが目に付く。キヤノンのブースではBMX用のバンクを設営しBMXライダーが飛び回る。タムロンのブースは全体を「ねぷた」のイメージで統一し、モデルも浴衣に身を包んでいる。ソニーブースでは望遠レンズのテストエリアが拡充されており、階段を上り上から下へと望遠で狙う楽しみを演出している。

キヤノンブースは会場にはBMXライダーによるアクロバティックステージを設置
タムロンブースでは2体のねぶたを展示

また、試写というわけではないが、コロナ渦の野鳥撮影ブームで多くのユーザーを取り込んだオリンパスのブースでは、バーダーに人気のカワセミをメインにした美しいPVが流れていた。

カメラのデジタル化で動画も撮影できるようになり、この先にあるのは高画素化の波だろう。当然そうなってくるとストレージやメディアもハイスペックで信頼性の高いものが要求されるわけで、もちろん今回のCP+にも信頼性の高い人気ストレージメーカーが出展している。

Nextorageに旭東エレクトロニクス(SUNEAST)と、最新のカメラでの撮影を円滑に行えるようにするためには切っても切り離せないメーカーだろう。また、ATOMOS等の撮影関連のアクセサリーを扱ったメーカーや音声収録アクセサリーのティアック(TASCAM)、撮影用ライトメーカーのPhottix、カメラ用品の総合商社の銀一等も多数出展しており、個々を紹介することができないのが悩ましいので、ぜひ興味がある方は横浜まで足を運んでリアルイベントを楽しんでほしい。

Nextorageブースは最新のCFexpress TypeBやSDカードを展示
旭東エレクトロニクスブースは最新メモリーカードの展示やタッチ&トライコーナーを設置
​ATOMOSブースは「ATOMOS CONNECT」「SHOGUN CONNECT」「ZATO CONNECT」を展示

イベントエリア「わたしの自由区」やプレゼンステージやアウトレットも拡充

今回もう一つ大きく変わったと言えるのが「わたしの自由区」というイベントエリアだろう。ここでは公開のセミナーが行われたり、大学などのサークルが発表の場として活用していたり、ZOOMSの写真展等も行われている。

公開トークセッションのトップバッターとして登壇されたのは、芸能界一のカメラ大好き芸人の小籔千豊氏が、ご自身のカメラ遍歴等を面白おかしく語っていた。この後も注目すべき公開セッションが目白押しで、立ち見でもOKというところが嬉しい。

開場に入場してしまえば、気になるセッションになるまで開場を散策し、セッション前に自由区に来て観覧するのも楽しいだろう。もちろんクローズで行われるセミナーも用意されており、各メーカー推参のカメラマンやクリエーターの濃密なセミナーを聴講することができる。各メーカーのブースで独自に行われるセミナーもあり、最新のカメラの情報や撮影テクニック等思う存分吸収できるだろう。

CP+開場にコミュニケーションスペース「わたしの自由区」を新設

そしてCP+のもう一つの楽しみはやはりアウトレットだろう。今年も多くのメーカーや商社がカメラ愛好家に向け多くの商材を用意してくれている。中でも最近話題のレンズフィルターメーカーH&Yがかなりお得な価格でアウトレット品を用意していたり、ほかの出展社も多くのアウトレット商品を用意して皆さんのお越しを待っていてくれるので、最新機種を見た後とにアウトレットでお値打ち品を購入するのもこれからの撮影シーズンに向けて有意義なものかもしれない。

大きく生まれ変わったCP+2023

コロナ渦でリアル開催が見送られてたこの3年で大きく変わったことは、多くの海外メーカーの出展取りやめだろう。渡航制限は緩くなったとは言え、まだまだ日本に来ることがむつかしい状態にあることは変わりないわけで、日本に支社や代理店を持たないカメラ製品メーカーの出展は著しく減っている。

ただ、それによる恩恵といえるものもある。それは通路が格段に広くなり、休憩スペースもより拡張され、じっくり狙いを定めて各社の製品を手に取って確かめることができるようになっていた。

以前のリアル開催時は通路が狭く、どうしても人と人がぶつかり合うなんてことはざらに起こっていたのだが、今回は本当に通路も広々としてとても歩きやすい。また歩き疲れたり、もらったノベルティー等の整理をするためにちょっと腰を下ろして作業指定といった時に、以前であればベンチなどを探して座るのは結構苦労していた。しかし、今回の開催はその辺感染症対策とともに、しっかり来場者への配慮がなされている感が強いく、ベビーカー等で来場される家族向けにもより入場しやすくなり、家族でのレジャーとしての入場もより楽しめるだろう。

「カメラ」というポジションが大きく変わってきた昨今だか、敷居の高かったフィルム写真からデジタル写真に、そして写真から動画撮影まで一台で行えるようになった「カメラ」。個人で楽しむためにも、家族で楽しむためにも、久しぶりのリアルイベントCP+2023に来場すれば、今までとは違ったカメラの楽しみが見えてくるかも。

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