【連載】World Baseball Classic あの瞬間をもう一度④

今年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック。第5回となる本大会には20ヵ国のスター選手が「ベースボールの世界王者」をかけた熱戦を繰り広げる。本シリーズでは2006年の初大会から撮り続けているカメラマン田口有史氏が捉えた、代表の母国を歓喜で打ち震わした歴史的な瞬間を紹介する。写真を振り返りながら、感動で泣け叫んだ瞬間、悔しさでうなりを上げた瞬間を思い出そう。

前回2017年大会。4回目でようやく優勝を果たしたのが本家アメリカ。第1回大会で豪華メンバーを揃えるも、2次ラウンド敗退。その後も要所にスター選手をそろえるも準決勝までの道も遠かったが、第4回大会はMLB通算1,769勝を誇るジム・リーランド監督の元、派手さよりも手堅い好選手でチームを構成。

1次ラウンドで破れたドミニカに、2次ラウンドでアダム・ジョーンズのホームランキャッチで競り勝つと、準決勝の日本戦では雨の中で1点を争う好ゲーム。8回に日本のミスをついて2対1で勝利を収めると、決勝では2次ラウンドで敗れたプエルトリコを相手に8-0と完封勝ちを収めて、ついに、アメリカが頂点に立った。

この大会から予備投手の登録が可能となり、次のラウンドに進む際に2名まで入れ替えることが可能となった。投手起用に幅を持たせることが可能になると共に、各国の代表に選手を送り出すMLBの各チームにとっても、最も繊細な投手を長期にわたって手放さなくても良くなり、怪我のリスクの軽減につながり、特に先発投手の選手選考にプラスとなった。

それを裏付けるかのように第4回大会でMVPに輝いたのはアメリカ代表の先発投手、マーカス・ストローマン。決勝戦でプエルトリコを0点に抑えるなど、3登板で防御率2.35。歓喜の紙吹雪の中でMVPトロフィーを掲げると、第5回大会で各国が豪華投手陣を招集するきっかけとなった。

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田口 有史(たぐち ゆきひと)/日系アメリカ人の親戚がいたこともあり、幼少の頃よりMLBに興味を持ち、中学生の頃からよりのめり込む。アスリートになれなかったため写真を始め、MLBを撮りたくてアメリカ留学。そのままフリーランスとして活動をし、30年近くMLBを撮影。全30球団を毎年必ず撮影することを自身に課し、1年の半分近くをアメリカで過ごす。オフィシャル・フォトグラファーとして予備予選なども撮影しているので、おそらく世界で最もWorld Baseball Classicの試合を撮影している。(写真:田口有史)

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