トルコ・シリア地震 被災地支援へ 諫早で伝統毛織物「キリム展」 トルコ人のムラートさん

キリムを販売し被災者支援活動を続けるムラートさん(左)=諫早市、「花栞」

 トルコ・シリア大地震被災地を支援しようと、福岡市の輸入販売業でトルコ人のエンシジ・ムラートさん(46)が、長年交流している長崎県諫早市天満町の和装小物・骨董(こっとう)店「花栞(はなしおり)」でキリム展を開いている。27日まで。収益の一部のほか同店に募金箱を置き、銀行振り込みなどでも義援金を募る。耐震性の高い学校の建設などに活用する予定。
 ムラートさんは2003年に来日し、トルコの伝統毛織物「キリム」などを扱う店を営む。ムラートさんによると、和歌山県沖で遭難した軍艦乗組員を住民が助けた1890年の「エルトゥールル号海難事故」以来、トルコ人は感謝や友好の気持ちを抱いているという。
 ムラートさんはその「恩返し」の意味を込め、2016年4月の熊本地震や、17年7月の九州北部豪雨、20年7月の熊本豪雨の発生直後に被災地入り。義援金や支援物資を届け、がれき撤去や泥水をかぶった家の清掃に加わった。21年に活動をGOEN(ごえん)と名付け、各地で開くキリム展の収益も被災地へ送り続けている。
 トルコでの地震発生からまもなく、ムラートさんに、熊本県人吉市や南阿蘇村など各地の自治体や個人から毛布やテントなどの支援物資が続々と届き始めた。善意の“リレー”にムラートさんは「涙があふれるほど心打たれた」と感謝の気持ちを示した。
 22日に始まったキリム展に訪れた諫早市多良見町の70代女性は「買うことで困っている人の役に立てれば」と話した。
 地震の死者は5万人を超えた。トルコ北部で暮らす親族は無事だったが、友人や仕入れ先の知人ら9人が亡くなり、連絡がつかない知人もいる。ムラートさんは「九州での縁に感謝し、一日も早い復興を目指したい」と話した。
 受け付けは▽筑邦銀行姪浜支店、口座番号3032937、口座名義「GOEN」。問い合わせはムラートさん(電090.9496.8699)。


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