戦争がもたらす「差別と排除」愛楽園で考える あすから小原一真写真展、4月23日まで 期間中に対談も

 【名護】沖縄愛楽園交流会館で写真家の小原一真さんの写真展が25日から始まる。同館の企画展「記憶と忘却、想起と想像 ロマ―ウクライナ戦争の見えざる犠牲者」の一環で、小原さんが撮影したアウシュビッツの写真などを展示する。4月23日まで。期間中に小原さんと県内の研究者らとの対談も予定している。

 沖縄愛楽園交流会館の辻央(あきら)さんは「歴史的に積み上げられてきた偏見と排除により、ヨーロッパでロマの人々は存在しないかのようにされてきた。今、ウクライナ戦争が長期化するなかで、ウクライナのロマの人々は国内や避難先の国で排除され、孤立している」と説明。「78年前、社会から排除され愛楽園に隔離された人々も、沖縄戦の激しい爆撃を受ける園から逃げることができなかった。戦争がもたらす排除される人々への差別と暴力を、愛楽園から考えたい」として来場を呼びかけている。

 期間中に企画されている対談の日程は次の通り。(敬称略)

▽25日午後2時~3時半、対談「戦争とマイノリティー―沖縄戦とハンセン病、戦時下の隔離と差別・迫害」。小原一真×吉川由紀(沖縄国際大学非常勤講師)

▽26日午後7~8時半、対談「展示で辿(たど)る他者たちの生―ハンセン病回復者とロマの人々」。小原一真×吉國元(国立ハンセン病資料館学芸員)

▽3月25日午後2時半~4時、対談「他者を伝える―向き合いたいこと・大切にしたいこと」。小原一真×戸田ひかる(映画監督)

▽3月25日午後1時~、映画「マイ・ラブ:絹子と春平」上映

▽4月8日午後2~3時半、対談「見えない死を悼む―ハンセン病と新型コロナウイルス感染症、ケアと看取り」。小原一真×伊波弘幸(名桜大学准教授)。名桜大学キャンパス内で写真展「空白を埋める」が同時開催される(日時などの詳細は愛楽園交流会館に問い合わせ)

▽4月23日午後2~3時半、対談「記憶と記録の継承―戦争・災害・疫病、災禍を伝え続けること」。小原一真×瀬尾夏美(アーティスト)

 全ての対談は予約制による一般公開(対面と一般配信)を予定。申し込みは沖縄愛楽園自治会のホームページかQRコードから。問い合わせは沖縄愛楽園交流会館、電話0980(52)8453。

 (松堂秀樹)

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