「請求権消滅と言えない」旧優生保護法で強制不妊 国に1,650万円の賠償命令ー静岡地裁 全国4例目

旧優生保護法のもとで、不妊手術を強制されたとして、静岡県内に住む80代の女性が国に損害賠償を求めていた裁判で、静岡地裁は2月24日、国に対して1,650万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

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勝訴を伝えるのぼり旗を広げる原告団=2月24日午後、静岡地裁

この裁判は、静岡県内在住の聴覚障害のある80代の女性が起こしていたもので、女性は1970年、旧優生保護法に基づく不妊手術、いわゆる「優生手術」を強制され、子どもを産んだり、育てたりする権利を奪われたなどとして、国に3,300万円の損害賠償を求めていました。

24日の判決で静岡地裁は、原告の女性が「優生手術」を受けたと認定、旧優生保護法については憲法違反だと認めました。

今回の裁判では、不法行為があってから20年が経つと、賠償を求める権利を失う「除斥期間」が大きな争点になっていました。この点について、静岡地裁は、被告である国が全国的かつ組織的な施策によって、原告が優生手術を強いられた事実を知りえない状況を、ことさらに作り出したとして、損害賠償請求権が消滅したということはできないとしました。

こうした事実に基づき、静岡地裁は、国に対し1,650万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。

静岡弁護団長の大橋昭夫弁護士は判決後の会見で、「除斥期間などという形式的な論理を排斥し、きっぱりと国の優生思想を断罪したことは、今後の各地での裁判に大きな影響を与え、勝訴の流れが一段と加速していくものとみられます」とコメントしました。

旧優生保護法をめぐる損害賠償訴訟で、国の賠償責任を認める判決はこれで4例目となります。

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