コロナ禍の卒業生 教諭からの贈る言葉③

この3年間、生徒たちは新型コロナウイルス感染症の影響でたくさんの我慢を強いられ、これまでの「当たり前」がことごとく覆された。教諭たちも共に悩み、迷い、それでも精いっぱいに青春を送る教え子の笑顔に励まされてきた毎日を過ごした。長崎新聞は長崎県教委、長崎県学事振興課を通じ、県内の公私立の高校(定時制・通信制含む)、特別支援学校高等部の全108校に対し、教諭から生徒たちへ贈る言葉を募り、95通のメッセージが寄せられた。(掲載は順不同)

■普通でないことが普通に

この3年間は、コロナとともに歩まざるを得ない3年間でした。臨時休業や時差登校、昼食時の黙食など、挙げればきりがないほどの制限のなかで過ごしてきた3年間でした。これまでの高校生にとっての「普通でないこと」が、いつの間にか君たちにとっての「普通」になってしまいました。でも、そのようななかでも「気魄と情熱」を持って、できることをしようとする姿には心打たれました。「どうすればよいかわからないなかでも、なんとかしようとする」、その姿勢を大切に、これから先の道も歩んでいってください。
(長崎南・池田翼教諭)

■不自由な中で試行錯誤

コロナ禍で始まった高校生活。我慢ばかりを強いられる日々でしたが、球技大会や体育祭、文化祭などできることを工夫しながら過ごした日々はきっと無駄ではなかったと思います。制限のかかる中で実施した修学旅行での学年レクリエーション、そして高校生活最後の体育祭と後夜祭では「不自由」な中で試行錯誤して行事を成功させた君たちの姿が印象に残っています。いよいよ卒業です。これからの君たちの「躍進」を期待します。
(佐世保北・吉村史朗教諭)

■前へ、前へ

「休校」「行事の中止」「マスク着用」「自宅待機」などなど、何かとフラストレーションがたまる高校生活。困難な状況においても穏やかに生活を送る人が多かった3学年でした。君たちに将棋の羽生善治九段の言葉を贈ります。「何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続してやるのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている」前へ前へと進み続けてください。諸君の健闘を祈ります。
(鹿町工業・3学年職員一同)

■人として成長するチャンス

コロナ禍の3年間は3年生にとって艱難辛苦の日々でした。しかし、皆さんは本校で手に入れた心の強さと人への感謝を忘れず、長崎大学をはじめとする国公立大学進学、県内就職率857%を実現しました。苦しみを知り、努力を惜しまず、強くなった皆さんはいつまでも人に優しく、人として成長するチャンスを持ち続けるはずです。「人間万事塞翁が馬」の精神の如く、人生一喜一憂せず、自分の夢に向かって進んでください。希望の青空の下、「大いなる明日」は今の君たちのためにあります。
(島原中央・中村順教頭)

■廊下に響く笑い声

「マスク!」と言われると急いでマスクをポケットから出してつける。「鼻!」と言われると慌ててマスクを直す。「自席で黙食」と言われるとしかたなく自席に戻る。何度も注意されると「次は『紙(作文用紙)』を渡すよ!」と言われるのが定番のやり取りだった高校3年間。それでも、毎日元気に登校して、廊下に響く笑い声や教室で談笑する君たちを見て、先生たちもたくさん元気をもらいました。ありがとう!君たちとの出会いに「感謝」!
(五島海陽・川島慎太郎教諭)

■仲間との時間は大切な宝物

この3年間、完全燃焼できたかな?入学直後の休校に始まり、行事の縮小・中止など、思い通りにいかないことが多かったね。でも、修学旅行には行けたし、最後の文化祭では劇もできたし、そこはよかったね。制限がある中での生活だったけど、同じ環境の中で過ごした仲間との時間は大切な宝物にしてもらいたい。これからはそれぞれが幸せをつかめるよう、頑張ってほしい!頑張れ!
(平戸・松邨保久教諭)

■描いた夢はかなう

突然の一斉休校から始まった高校生活。文化祭や体育祭などの行事も制限ばかりで、どこまで我慢すればいいんだとの学校生活。交流禁止で練習試合もできず、叱られてばかりの練習の日々。そんな状況でも腐ることなく、常に「強く」なろうとしていた姿。その姿に私も励まされたよ。だからこそ手にしたインターハイで初のメダル獲得。メダルをくれてありがとう。夢のようだった。どんな試練やコロナにも負けず、本気で夢を追いかけていれば、描いた夢はかなっていくことを教えてくれた君たちに感謝です。ありがとう。大変だったけど楽しかったよ。絶対に負けるな。
(川棚女子ホッケー部顧問・志田達広教諭)

■不本意ながら黙食促し

午後4時半、給食開始のチャイムが鳴ります。友人と楽しい会話をしながらの給食、のはずが新型コロナウイルス感染防止のために「黙食」となりました。卒業生は入学から卒業まで、ずっと黙食でした。先生方は不本意ながら、黙食を促しました。給食の時間は、生徒達の心と身体を元気にする楽しい時間です。黙食となり残念でしたが、中央高校の給食はいつもおいしかったですね。これからも、心身の健康に気を付けて、活躍してください。
(佐世保中央定時制夜間部3学年担任一同)

■みんな大好きだ‼

我慢を強いることの多かった3年間でした。修学旅行に連れていくことができなかったことがもっとも後悔していることです。ですが、その状況に負けることなくささいなことにも一生懸命に取り組み、パワフルに毎日を過ごす皆さんに大変励まされました。この3年間で立派に成長した皆さんを心から誇りに思います。本当におめでとう!みんな大好きだ‼
(海星・山本展之教諭)

■共に輝き続けよう

入学直後の緊急事態宣言下、「離れていても心はひとつ」と再会を心待ちにした外出自粛期間。3密を避けた授業は講堂、視聴覚室。2分割にしての複式講座による補習。昼食はスクール形式の黙食。想定外の修学旅行、東京への思いは外海の水平線の向こうへ。103人全員で見た海の景色は忘れられない。そこにはみんなの笑顔があった。想いを描いた波佐見焼でコロナ禍3年間の青春に祝杯を挙げよう!共に輝き続けようわれら67回生。
(島原商業・前田恵美子教諭)

■「どこに行くか」より「誰と行くか」

コロナ禍で、宿泊学習も修学旅行も目的地が変更になってしまいました。近場での活動に物足りなさを感じるのではないか、という私たち教師の心配をよそに、みなさんはすべての活動に一生懸命に取り組み、仲間を気遣い協力し合う姿を見せてくれました。あなたたちにとって大切なことは、「どこに行くか」より「誰と行くか」だったのかもしれませんね。かけがえのない仲間との絆を大切に、これからの人生も自分らしく歩んでください。
(島原特別支援学校・長下芳寿教頭)

■楽しみにしていた修学旅行に行けず

2学年の1月、修学旅行で行くはずだった京都。しかし、感染拡大防止のために11月に九州へ変更。そして、出発日の5日前に長崎へ変更。ついには長崎県内も感染拡大のため、修学旅行そのものが前々日に中止になってしまいました。楽しみにしていた修学旅行に行けず、悲しい顔、悔しい顔も見せたかったはずなのに、一つ一つ、前向きに捉えてくれて、本当にありがとう。みんなから、大切なことを学びました。「どこに行くかではなく、誰と過ごすか」。与えられた機会で最大限の学びを。
(中五島・一瀬理恵教諭)

■できる時にどれだけ貪欲になれるか

なぎなたにおいては、マスクを着用し、フェースシールドをした状態で面をつけ、稽古をしていました。高校1年次、各大会が中止となり、この先自分たちの舞台はあるのか、目標をどこに定めればいいのか、全員が初心者ということもあり不安を抱きながら練習に励んだことでしょう。その反面、大会が開催されることに対しての喜び、感謝、そして勝ちにいく執念は誰よりも強く感じていたと思います。コロナと共存していくなかで、できる時にどれだけ貪欲になれるかがカギです。(松浦なぎなた部顧問・板垣勇教諭)

■最初から互いにマスク姿

「あなたは誰?」。マスクの顔はなかなか見分けられません。皆さんと初めて会ったのが3年前の入学式、最初からお互いにマスク姿でした。歓迎遠足も、体育祭も、文化祭のバンド演奏やダンスも3年間ずっとマスク姿でしたね。山を登る時や体育祭のリレーでの息苦しそうな目、いつでも皆さんが全力で頑張っていた姿は楽しい思い出として心に残っています。さあ、いよいよ卒業式。最後にマスクなしの姿を拝見して、「あなたは誰?」と思いつつ未来へのスタートを応援します。(こころ未来・小川琢次教頭)

■「かわいそう」な3年間じゃない

この3年間、皆さんは大いに考えました。この状況で何かできることはないのか。今この時代をどうやって生きるべきか。自由に生きるということは、選択肢の中から自分で選択をするということです。皆さんはこの3年間、懸命に、自由に生きようとしました。皆さんは決して「コロナのせいでかわいそう」な3年間を送ったわけではない。皆さんは自由になれる可能性を学んだ。これからもぜひ、大いに考えて自分で選択し、自由に生きてほしいと思います。
(創成館・塚原政司教諭)

■心から「ありがとう」

歩んできた道にいつも仲間がいて、共に泣き、共に笑った日。保護者の方々をはじめ、多くの人に支えられ、そのエールを力に立ち向かってくれましたね。バスケットを通じて、みんなと出逢えたこと、少しずつ前へ進んでいけたこと、そして大きく成長してくれたことは、私にとってかけがえのない宝物です。みんなが残してくれた『心・技・体』を、後輩達はしっかりと引き継いでいきます。心から『ありがとう』を贈ります。
(長崎日大女子バスケットボール部顧問・兼頭沙樹那教諭)

■コロナにも邪魔できない思い出

にぎやかに過ごせたはずの昼休みも「前を向いて、静かに食べなさい」。当たり前にあったはずの「日常」が姿を消しました。学校行事にも多くの制限がかかり、経験できたはずのたくさんの「青春」が、姿を変えました。そんな中でも、体育祭で盛り上がったり競ったりしたこと、他の場面でも、同じ時間を共有できたことはとても楽しかった。コロナにも邪魔できない大切な思い出です。できなかったことへの後悔を、これからしたいことへの希望へ。そう考えて、未来に歩を進めていってほしいと願います。
(島原工業・堀部竜之介教諭)

■決して歩みを止めず

生徒会・文化活動にいそしんだ長崎県の高校生の皆さん。数々の制限の中でも、皆さんのアイデアと工夫で生徒会・文化活動は決して歩みを止めませんでした。特に、昨年度の第5回九州総文長崎大会で史上初となるオンラインによる総合開会式を創り上げてくれた3年生の皆さんには、この場をお借りして心からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。「いつか、この花束を、あなたへ」を実現できる社会を創造してくれることを心から願っています。
(西彼杵・前川卓郎教諭=県高文連生徒会交流専門部専門委員長)

■3年間耐えてきた

修学旅行で行った鳥取砂丘での光景は忘れられない。澄み切った空に向かって、マスクを外し、歓声を上げながらみんな走りだした。制服が砂まみれになるのも構わず。みんな暴れたくてしょうがなかったんだ、と分かった瞬間だった。爆発的なエネルギーを存分に発揮できるのが高校生活だろう。それが存分にはできない生活に君たちは3年間耐えてきた。だからこそ、これからとんでもない飛躍を見せてくれると信じている。
(精道三川台・栁原悟教諭)

■仲間思いだし、がんばる力を

大阪方面に予定していた修学旅行が、長崎市内に変更になり、皆さんは少し残念そうにしていましたが、すぐに切り替えて長崎市で楽しめる計画を立てました。修学旅行では思い出とともに、5人の絆がさらに深まりました。これから社会に出て、思い通りにならないことがあるかもしれません。しかし、どんな環境でも楽しめる皆さんはどこに行っても大丈夫です。つらいときは最高の仲間を思い出してください。頑張る力が湧いてくると思います。ずっと応援しています。
(虹の原特別支援学校壱岐分校・三澤絵里子教諭)


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