“諫高3人娘” 恩返し誓う 春からは大学、実業団へ 長崎県下一周駅伝 代替大会

高校ラストランを「楽しんで走る」と意気込む(左から)藤丸、蔦野、田中=諫早市、諫輝寮前

 3年連続で中止となった郡市対抗県下一周駅伝の代替大会(長崎陸上競技協会主催、長崎新聞社特別協力)が26日、諫早市の県立総合運動公園内で開催される。この春、卒業する高校3年生にとっては、高校生として参加できる最初で最後の「県下一周」。諫早高女子の3本柱として活躍してきた田中咲蘭、蔦野萌々香、藤丸結も練習や試合のたびに通った「ホームグラウンド」で恩返しの走りを誓う。
 3人は親元を離れて寮で寝食を共にし、互いを高め合ってきた。目標に届かなかったり、けがでもどかしい思いをしたりとつらいことの方が多かったが、藤丸は「だからこそ、大きく成長できた」と実感を込める。
 中学時代にバスケットボール部だった藤丸は、1年生にして全国高校駅伝のメンバーに抜てきされたが、2年時は補欠に。田中も2年時はけがで本調子からは遠く、チームの8位入賞もどこかほろ苦さが残った。蔦野は3年時、6位までがインターハイに進める北九州地区予選の3000メートルで最後の最後に抜かれて7位で涙をのんだ。
 そんな多くの悔しさをバネに、3人は高校最後の駅伝シーズンに飛躍を遂げた。昨年12月の全国高校駅伝は最後まで入賞争いを繰り広げると、続く今年1月の全国都道府県対抗女子駅伝では3人そろって区間4位と好走。主将の田中は「ようやく3人ともいい走りができた大会」と振り返る。全国に通用する実力を改めて証明した会心のレースだった。
 田中は大学日本一の名城大、蔦野は大東大、藤丸は地元実業団の十八親和銀行に進み、いずれも競技を続けることが決まっている。ずっと一緒だった3人は、春から全国各地に散らばることになるが、関東で日の丸を目指す蔦野は「違う場所で頑張って、また一緒に長崎代表として成長した姿を見せることができたらいい」と飛躍を期す。3年間で培ってきた仲間としての絆、そしてライバルとしての絆は固い。
 今回の県下一周駅伝代替大会では、田中が中学時代まで過ごした壱岐チームの女子アンカーで出走。蔦野と藤丸は2020年まで女子総合5連覇中の大村・東彼の主力としてトップを狙う。「楽しんで走りたい」と声をそろえる3人。思い出がたくさんつまった地で、高校ラストランに臨む。


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