「誰も断らない」救急搬送に全力対応 コロナ「第8波」1日当たり100件以上も 鎌倉市内の病院

患者搬送の出動に備えて待機する救急車=2月1日、鎌倉市の湘南鎌倉総合病院

 新型コロナウイルスの「5類」引き下げを巡り、県内の医療現場が高齢者らハイリスク層への対応に神経をとがらせている。医療逼(ひっ)迫に直面した時期も「誰も断らない」と奔走してきた鎌倉市の病院は、「これからも弱者を置き去りにしない医療を提供し続けていく」と強調。感染再拡大を防ぐには、地域全体で患者を受け入れる医療体制の構築が必要と訴える。

 巨大病棟の脇に患者を乗せた救急車が並び、救命救急センターでの受け入れを待っていた。新型コロナの流行「第8波」が猛威をふるっていた1月上旬。鎌倉市の「湘南鎌倉総合病院」は、1日当たりの受け入れ件数が過去最多の118件に上った。

 通常の救急搬送は1日50~60件だが、感染拡大で倍増。1月の搬送件数は計2385人で、昨年12月の2456人に次いで多い患者を受け入れた。多い日の内訳は鎌倉市内からの搬送が30件程度だったのに対し横浜市が約60件に膨らむなど、広域対応も少なくなかったという。

 3年前に新型コロナの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客受け入れに始まり、一貫して救急患者を受け入れてきた同病院。増え続ける患者に対応するため、通常は消防署に勤務する救急救命士ら17人が職員として常駐する「救急調整室」を設けて搬送者の調整に当たってきた。ピーク時は臨床工学技士らも救命救急センターに投入するなど、手厚い後方支援を築いて乗り切ってきた。

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