交通事故「死者数」は大阪府が最多…“遭遇率”が一番高い都道府県は?

警察庁が発表した「令和4年中の交通事故死者数について」によると、2022年中に交通事故で亡くなった人は2610人(前年比26人減)。記録が残る昭和23年(1948)からの統計で、6年連続の最少更新となった。

死亡事故に“遭遇する確率” もっとも高いのは…

死者数を都道府県別に見ると、もっとも多かったのは大阪府で141人、次いで愛知県137人、東京都132人と続いた。

一方、もっとも少なかったのは鳥取県で14人。2位は島根県で16人、3位は石川県で22人だった。

警察庁の統計をもとに弁護士JP編集部が作成

人口が多ければ当然、死者数も多くなる傾向にある。そのため、大阪府で死者数がもっとも多かったからといって、局地的に“死亡事故に遭いやすい”というわけではない。

同資料で公表されている「人口10万人当たり死者数」を確認すると、もっとも人数が多かったのは岡山県で3.94人。次いで岐阜県3.82人、高知県で3.8人だった。これらの都道府県では、死者数の総数は少なかったものの、“遭遇する確率”で言えば、全国的トップクラスだったということになる。

対して、「人口10万人当たり死者数」がもっとも少なかったのは東京都で0.94人。2位は神奈川県で1.22人、3位は埼玉県で1.42人。東京都をはじめ、上位10位以内の6都道府県は、死者数の総数は多かったものの、人口比で見れば、むしろ“遭遇する確率”は低いという結果になった。

警察庁の統計をもとに弁護士JP編集部が作成

もっとも死亡事故が多かったのは12月

その他のデータを見ると、全国の月別交通事故死者数は例年の傾向と変わらず、12月が最多で280人(1日当たり9.0人)。交通事故総合分析センターの統計から、飲酒運転事故や、それによる死者数も、もっとも多い月であることが分かっており、引き続き防止対策が求められる。

警察庁「令和4年中の交通事故死者数について」(https://www.npa.go.jp/news/release/2023/20230104001jiko.html)より

また全年齢の死者数に対する高齢者(65歳以上)の構成率は56.4%。約半数が高齢者という状況は、同資料で確認できる2012年以降、ほぼ横ばいに続いている。

警察庁「令和4年中の交通事故死者数について」(https://www.npa.go.jp/news/release/2023/20230104001jiko.html)より

死者数が3人以上だった交通事故は、3月に愛知県の県道で1件、11月に神奈川県の高速で1件、同じく11月に千葉県の国道で発生した1件の、合計3件だった(各都道府県警察から警察庁が2022年12月27日までに報告を受けたものを集約)。

警察庁「令和4年中の交通事故死者数について」(https://www.npa.go.jp/news/release/2023/20230104001jiko.html)より

国家公安委員会委員長「今なお多くの尊い命が失われている」

国家公安委員会委員長は2022年の交通事故死者数について、6年連続の最少更新となったことを評価しながらも、「今なお多くの尊い命が交通事故で失われていることには変わりなく、子どもが犠牲となる痛ましい交通事故や、飲酒運転等の悪質・危険な運転による交通事故も後を絶ちません」とコメント。

子どもや高齢者など“交通弱者”を含めた歩行者の安全確保や、自転車の交通ルール順守を徹底させること、飲酒運転など悪質で危険な交通違反に対する取り締まりなどに取り組んでいくとして、「国民の皆さまにはより一層交通安全に留意していただくようお願いします」と呼びかけた。

統計はあくまでもデータであり、交通事故に遭うリスクはどこに潜んでいるか分からない。車やバイク、自転車などを運転する人も、歩行者も、全員が“当事者”として十分に気を付けなければならない。

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