ベルト・バックル|なべやかん遺産 芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「ベルト・バックル」!

ベルトは重要アイテム!

お洒落をする時、まずどこから決めていくか?

アウターから行く人、トップスから、ズボン、靴、いやいや帽子から。人それぞれ違いがあるだろうがベルトから入るという人はどれだけいるだろうか?

なんだかんだでベルトは最後のような気がするのは自分だけ?

キャラクターデザインでも、おそらくベルトは後回しにされているのかなーと勝手に想像してしまう。

デザインの過程として、顔、全身、そしてベルト、そんな流れになるのだろうが、キャラクターにとってベルトはかなり重要アイテムなのでデザインはとても大切だ。

印象が強いパーツの一つ、それがベルトのバックルだ。

ヒーローのベルトで一番有名なのは仮面ライダーだろう。ベルトが変身アイテムでもあるしチャンピオンベルトのように立派だ。敵のショッカーのベルトですらチャンピオンベルト級のインパクトがある。

ヒーローのベルトは玩具になるので、最近の物はやたらとギミックが多い。玩具を売るためメーカーも四苦八苦。昭和時代は玩具展開もあったが技術の問題も追いつかなかったので、わりとシンプルな物が多い。

敵に至っては組織のマークを取り入れているので、ベルトが組織の象徴になっていたりする。

敵組織がいてヒーローがいる勧善懲悪の世界。今でも自分はそういった構図が好きだ。昭和の特撮ヒーロー世界は常に勧善懲悪でわかりやすかった。

だからこそヒーローの価値もカリスマ性や価値も高かった気がする。

ヒーローショーで思わぬ出会い

お祭りや遊園地やデパートの屋上やホテルの大広間でヒーローショーが行われると、必ず「会場にいる子供達をさらってこい」とマイクを持った敵幹部が指令を出す。

そうすると戦闘員が客席に下りて来てウロウロしだすのだが、これが子供の頃は凄く怖かった。

だから必死に逃げてりしていたのだが、中には「はーい、はーい」と手を挙げてさらわれる事を志願する子供もいた。そうすると敵幹部が「あいつはバカそうだから駄目だ」と鋭く無視するのだ。

プロレスの悪役レスラーやヒーローショーの悪役は、昭和時代は本当に怖い存在だったのでそれが楽しかった。

大人になり自分が出演するイベントで別時間帯にヒーローショーが入っていたりすると、なるべく観るようにしている。2017年、群馬県昭和村の村祭りイベントで仮面ライダービルドショーを観た時に驚愕した事があった。

マイクパフォーマンスする敵幹部がしていたベルトが秘密戦隊ゴレンジャーの敵である黒十字軍戦闘員ゾルダーのベルトだったからだ!

どういう事かというと、このヒーローショーをやっているチームの歴史が古いという事だ。秘密戦隊ゴレンジャーは1975年の作品だから、この時代からヒーローショーをやっているという事になる。

さらにジックリ見ていると、敵の中に電撃戦隊チェンジマンの敵戦闘員ヒドラー兵のマスクを改造した物をかぶっている人もいた!

電撃戦隊チェンジマンは1985年の作品だからね。思わずショー関係者に話し掛けてしまったよ。

そうしたら、その日やっていた仮面ライダービルドのサイン色紙をくれたので嬉しかった。

地味なベルトが好き

という事で、今回は特撮ヒーロー番組にまつわるベルトをご紹介。それぞれバックルに特徴があるので面白い。

これはハイブランドメーカーも同じだ。露骨にHerm?s、GUCCI、Louis Vuitton、Bvlgariなんてのもあるくらい、バックルでブランド名や会社マークを押し出したりしている。

特撮ヒーロー番組も同じで、バックルを見るだけでどのヒーローなのか、またはどの敵の組織なのかが一目瞭然だ。

鉄人タイガーセブンのベルトはシンプルだからかっこいい。

まずは『鉄人タイガーセブン』(1973)のタイガーセブンのベルトからご紹介。ピー・プロダクションの作品で原案・企画うしおそうじさん。ネコ科のヒーロー三作品目にあたる。

タイガーセブンのベルトは今のヒーローに比べるとかなり地味であるが、個人的にはこのくらい地味な方が好きだ。

現代のヒーローのように無駄に分厚くてデカくて機能が山ほど付いているのは好きではない。このくらいの方が、実際に戦闘する時は邪魔にならないだろう。

『秘密戦隊ゴレンジャー』ミドレンジャーのベルト。バックル脇のマークと色で識別。
ゴレンジャーの敵組織・黒十字軍戦闘員ゾルダーのベルト。欠損部分をいつか修復したい。 

続いて東映作品。『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)のミドレンジャーのベルトだ。

ゴレンジャーは中央のバックル脇に各ヒーローの色とマークが付いているのでわかりやすい。ミドレンジャーはブーメラン型の緑色のマークが付いている。ゴレンジャーの敵組織・黒十字軍戦闘員ゾルダーのベルトもあるが、残念ながら一部欠損している。

いつか欠損部分を修復しようと思って30年近く経っている。

いつか直すぞ!

花忍キャプター3のベルト。バックルはFRP素材。

『忍者キャプター』(1976)という作品は、同じ東映だがゴレンジャーと放送局が違う。ヒーローはゴレンジャー同様複数人いて色分けされているがスーパーヒーロー戦隊の枠組みではない。

制作された時代から見て、完全にゴレンジャーを意識して作られたフォーマットだろう。ベルトは花忍キャプター3の物。キャプターは7人いて全員バックルの形は同じだが色で分けられている。ピンクは花忍。とても分かりやすい。

ジャッカー電撃隊のベルト。4人の誰が付けていたかは不明。
ジャッカー電撃の敵組織・クライム戦闘員クライマーのベルト。

『ジャッカー電撃隊』(1977)はスーパー戦隊シリーズの二作目。昔はゴレンジャーとジャッカーはスーパー戦隊シリーズではなかったのだが、ある時からスーパー戦隊シリーズ入りとなった。

巨大ロボが出て来ないからカテゴリーが違うと言われていたが、そんなの関係無いと初めから思っていた。

ジャッカー電撃のベルトだが、ベルトだけで何色の誰が付けていたかの判断は出来ない。

この場合は自分が好きなキャラクターのだと信じれば良いと思う。(笑)

ジャッカー電撃の敵組織・クライムの戦闘員クライマーのバックルは組織イメージが出ているデザインだと感じる。

『電子戦隊デンジマン』敵組織・ベーダー一族の戦闘員ダストラーのベルトは一般的な太さ。

スーパー戦隊シリーズ4作目『電子戦隊デンジマン』(1980)の敵組織・ベーダー一族の戦闘員ダストラーのベルトは、他の戦隊シリーズの敵や仮面ライダーの戦闘員のベルトと違い一般的に市販されているベルトの太さである。

その為、他の組織に比べバックルもコンパクトだ。主張の強いハイブランドのバックルにはこの大きさもあるしね。

我々の普段着やお出かけ着で使い回しされているベルトだが、そんなベルトがヒーロー世界ではわりと良いアイテムになっている。だからこそコレクションしていて楽しいのだ。

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