「違う!」「ミスリードだ」子ども関係予算倍増で首相が声荒らげ反論 強硬姿勢で「火に油」 

衆院予算委員会で答弁する岸田文雄首相=27日午後、国会内

 子ども関係予算倍増を巡り、岸田文雄首相は27日の衆院予算委員会で立憲民主党の長妻昭元厚生労働相らと論戦した。首相は木原誠二官房副長官の「子どもが増えればそれに応じて予算は増えていく」との発言を、「政府方針と齟齬(そご)はない」と擁護。基準となる予算値を「検討中」としながらも「倍増実現」を強調する姿勢を、立民側から「説明にならない説明」などと批判されると、「違う」「ミスリードだ」と声を荒らげ反論した。

 木原副長官は21日放送のBS日テレ番組の中で子ども関係予算倍増について「子どもが増えればそれに応じて予算は増えていく。出生率がもしV字回復して上がってくれば、割と早いタイミングで倍増が実現される」と説明。「1人当たり」ではなく「総枠2倍」との新論を持ち出し波紋を広げている。倍増問題は決着せず「強硬姿勢で火に油」(公明議員)の状態だ。

 同日の予算委で木原副長官は「齟齬はない」との首相答弁を受け、「諸条件で倍増のタイミングが変わり得るとの意味で話した。『子どもが増えれば予算は倍増する』などとは言っていない」と説明。長妻氏は「ごまかしだ。そもそも前提となる出生率の持ち直しが当面は見込めないという各種検証を政府中枢が把握していないのは問題。少子化対策をやる気がない何よりの証拠だ」と断じた。

 長妻氏は「防衛は裨益(ひえき)(助けとなり役立ち補うこと)が全国民におよぶ点が少子化対策などと違う」(1月30日参院予算委答弁)との旨の首相発言を引き、「混乱は総理の誤った認識が背景。子育て関係予算は長い目で見れば益は全国民に及ぶ。答弁を撤回し認識を改めよ」と追及。しかし首相は「少子化や子育て政策上の意義は否定していない。財源上の見方を説明しただけだ」などと拒否した。

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