3年間授業せずに単位認定 宇都宮大大学院 男性准教授停職5カ月

宇都宮大大学院教授らの懲戒処分を公表し、謝罪する宇大の吉澤理事(左)ら=27日午後、県庁記者クラブ

 宇都宮大は27日、2019~21年度の3年間にわたり、授業を行っていないのに大学院生計11人に単位を与えていたとして、宇大大学院地域創生科学研究科の40代男性准教授を停職5カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は24日付。

 宇大によると、3年間の履修者は計11人でいずれも准教授の研究室所属だった。本来は週1回90分の授業を年15回実施すべきだったが、ゼミと学会発表等の指導を授業の代わりとし、学生に2単位を与えていた。

 准教授は宇大の調査に対し、授業を行わなくても学生には基礎的な知識があると判断したとし、「学生も自分自身も、研究に費やす時間を確保したかった」などと説明している。

 22年1~2月に授業改善の参考とするため学生に実施したアンケートで、「授業が行われなかったのに単位が与えられた」との記載があり、発覚した。学内関係者でつくる調査委員会の調査などで講義、指導、評価のいずれも実施されていないと認定した。

 11人は既に卒業している。今後、対象者に謝罪し、オンラインによる補講の受講を依頼する。元学生に不利益のないよう単位認定と修了要件を確認する。

 宇大の吉澤史昭(よしざわふみあき)理事は記者会見し、「学生の教育をないがしろにし、大学の根幹を揺るがしかねない極めて重大な問題となる不適切な行為」として謝罪。授業管理システムを利用した開講の確認などを徹底し「再発防止に努めたい」とした。宇大は個人が特定される可能性があるとして准教授の氏名や授業名を公表していない。

宇都宮大大学院教授らの懲戒処分を公表し、謝罪する宇大の吉澤理事(左)ら=27日午後、県庁記者クラブ

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