<新型コロナ>きょうコロナ終わっても、コロナ前に戻れない…埼玉233人感染8人死亡 なぜ今「元年」か

埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県は27日、新型コロナウイルスに感染していた8人が死亡し、新たに0~90歳以上の233人の感染を確認したと発表した。新規感染者は3日ぶりに300人を下回った。内訳は県管轄が180人、さいたま市34人、川口市6人、川越市9人、越谷市4人。一週間の感染者数の平均は533.7人。

 これまでに確認された感染者は178万6008人。死者は3838人。26日夜時点の重症者は12人、入院は316人、宿泊療養は93人。

 県によると県管轄では70~90代の男女4人が死亡。さいたま市では60代~90歳以上の女性4人が死亡した。

 クラスター(感染者集団)関連は3件で、新たに感染が確認された施設はなかった。

■ポストコロナ経済、変化への対応力を重視 23年度県予算点検

 13日の記者会見で大野元裕知事は、2023年度当初予算案のキャッチフレーズを「ポストコロナ元年~持続可能な発展に向けて~」と打ち出した。「経済とコロナの両立を図るウィズコロナの時代に入った。ただ、ウィズコロナをずっと続けるわけではなく、コロナが仮にきょう終わったとしても、コロナ前と全く同じにはならない」と大野知事。「ポストコロナ元年」とは、コロナ前への回帰ではなく、感染拡大防止とともに、目下の原材料高や資金繰り需要などの経済の変化に対応できる取り組みを進めるスタートを意味している。

 企業の資金繰り対策では制度融資枠の拡大と合わせ、コロナ後を見据えた設備投資促進資金におけるカーボンニュートラルの要件に循環型経済(サーキュラーエコノミー)の取り組みを追加し、事業を後押しする。支援拠点を設置して専門人材を配置し、相談やビジネスマッチングにワンストップで対応する。これら分野へと踏み出す企業への支援や助成は、これまでにはない、新たな県の方針とみることができる。

 「第1波」の勢いが収まった20年5月末、「第2波」の到来を想定して設置された「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」では、コロナ後を見据えた経済の強靭化(きょうじんか)が議論されてきた。今月10日に行われた会議では「環境変化に対応できる戦略的取り組み」として、二酸化炭素(CО2)削減ほか、脱炭素社会の実現、業態転換の取り組み支援、成長分野などへのマッチング強化といった県の施策についても報告された。

 新型コロナウイルスは5月から、感染症法上の分類が現在の「2類相当」から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に見直される。県は新年度から、感染防止と合わせ、環境など新たな分野に挑戦する企業の支援にさらに力を入れる。

 同会議後、県商工会議所連合会の池田一義会長は、価格転嫁へ実効性ある取り組みを求めた上で「企業自体の自己変革力、付加価値を高め、稼ぐ力をつけるため、事業再構築補助の充実や恒久化を要望する」と、企業の力を引き出し伸ばす施策が必要と指摘。「社会構造が大きく変化する中、ポストコロナにはさまざまな施策が必要。長期的ビジョンに立った産業振興や、産業をどう変えるか、県の後押しを」と求めている。

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