名門マンチェスター・ユナイテッドが、復活の兆しを見せている。
24日（日本時間）、イングランド・マンチェスターのオールド・トラフォードで開かれた2022―23シーズンのヨーロッパリーグ（EL）決勝トーナメント・プレーオフ第２戦で、バルセロナに2―1で勝利。
マンチェスターUがバルサに勝つのは、2008年4月30日に行われたチャンピオンズリーグ（CL）準決勝第2戦以来。15年ぶりの勝利だった。
特にオランダ人のエリック・テン・ハフ監督のゲームマネジメントが完璧だった。途中出場で投入した選手たちが試合の流れを変えたのだ。中でも後半開始とともに投入されたブラジル代表FWアントニーは決勝ゴールを挙げ、その采配が正しいことを証明した。
自国オランダのアヤックスでリーグ優勝3回のキャリアを引っ提げ、今季から指揮する同監督に対し、マンチェスターＵの伝説的GKピーター・シュマイケル氏は試合を観戦後、賞賛を惜しまなかった。
現地「BBCラジオ5」を通じて、こう語っている。
「ここまで来るのに10年かかった。今シーズンは本当にどんなことでも起こせると思う」
「マンチェスターUはすべてに勝てるかもしれないし、そうではないかもしれない。しかし大きく成長した姿を見た」
「テン・ハフ監督は、優れた監督なら当然力を発揮すべき状況で、適切に対処した」
「過去のアレックス・ファーガソン監督を見るようだ。そう思った。『私たちの理想的な監督を見つけたんだ』と」
確かに最近のマンチェスターUは上昇気流にある。1月23日（日本時間）プレミアリーグ21節でアーセナルに2―3で敗れたものの、その後公式戦9試合で7勝2分け。プレミアリーグでの順位を3位（勝点49）まで上げ、4位のトッテナム（勝点42）と差を広げている。
今シーズン初優勝とトロフィー獲得にも挑戦する。まずは2月27日、ニューカッスルとリーグカップ（カラバオ・カップ）決勝戦。この試合で勝利すれば、2016―2017年のジョゼ・モウリーニョ監督体制で獲得したEL優勝以来、久々のトロフィーを獲得することになる。サウジアラビアの政府系ファンド率いる共同出資体が買収し、「オイルマネー」が流入した形となったニューカッスル・ユナイテッドに優勝のチャンスが到来している。
ニューカッスルは27日午前（日本時間）、イギリス・ロンドンのウェンブリースタジアムで、2022―23イングランド・リーグカップ（カラバオ・カップ）決勝を戦う。相手はカタール資本による買収が噂されているマンチェスター・ユナイテッドだ。
ニューカッスルがプレミアリーグ、FAカップ、国際大会を含めたすべての公式戦でタイトルを獲得したのは、実に1954―55シーズンまでさかのぼる。プロとアマチュアがともに競ったFAカップ制覇が最後だ。
近年で最も優勝に近づいたのは1998―99シーズン。当時、ニューカッスルはFAカップ決勝に勝ち進んだ。偶然にも相手は今回と同じマンチェスターＵだった。徹底的な準備の下に試合に臨んだが、シェリンガムとスコールスに1ゴールずつを献上。0―2で敗れ、準優勝にとどまった。
リーグカップは他のコンペティションに比べ重要度は落ちるが、"寂しさ”を癒やすには十分だ。英大衆紙「デイリーメール」は23日、「ニューカッスルがリーグカップ優勝を収めれば、1974―75シーズンの『テキサコ・カップ（当時の名称）』以来48年ぶりで、100万ポンド（約1億6000万円）のボーナスが選手に手渡される」と伝えた。
実のところ、リーグカップのチーム全体での優勝賞金自体は10万ポンド(約1600万円）と低い。準優勝だと5万ポンド（約800万円）まで下がる。FAカップの優勝賞金がチーム全体で200万ポンド（約3億2000万円）だからその差は歴然としている。
ではなぜ「デイリーメール」は選手一人あたりのボーナスを「100万ポンド」としたのか？ タイプミスか？
違う。クラブオーナーによる「オイルマネー」で、チーム全体の優勝賞金の10倍にもなるボーナスが選手たちに支給されるのだ。
ニューカッスルを指揮するエディ・ハウ監督にも、優勝を果たした場合には契約書上で示された追加ボーナスが入るという。
一方、選手たちは、リーグカップで1分でもプレーしたり、あるいは出場メンバーリストに含まれた事実があれば、ボーナスを受け取る資格者となる。
リバプール時代、欧州チャンピオンズリーグ決勝の「痛恨のキャッチミス」で知られ、クリスタル・パレスとのリーグカップ3回戦のサブメンバーに入ったGKロリス・カリウスのほか、レンタル移籍先のマンチェスターUから復帰したGKマルティン・ドゥブラフカ、そしてリーグカップ2回戦でプレーし、現在はハル・シティにレンタル移籍中のGKカール・ダーロウも特別ボーナスを手に入れることができる。
ただし、あくまでもニューカッスルが優勝した場合だが。
