大谷翔平さん 「何もしてない」のに韓国を恐れさせてしまう【WBC】

2015年プレミア12での日韓戦で登板した大谷翔平 @Getty Images

「今までの…まあなんと言いましょうか、試合も、前後(背景)も見ては来ました。ただ自分にとっての大きな変化があるかというと、そんなことはないです。個人的には韓国の選手もすごく大好きですし、メジャーリーガーのなかにも普通にいますけれど、いつも話をさせてもらっていて、みんないい選手ばかりなので楽しみです」

大谷翔平がこう口にした。2月15日(日本時間16日)、所属のエンゼルスでのキャンプ初日のことだ。練習後にメディアの取材に応じ、3月8日に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で対戦する韓国についての質問に答えたのだ。

これを韓国側はどう受け止めたのか。国内最大の通信社・聯合ニュースは「日韓戦の長い歴史を知っている」と見出しを打ち、地上波テレビMBCは「日韓戦に期待」と報じるなど多くの注目を集めている。一部には綿密なデータを引用して「超警戒」とするメディアも。 

実は「打者大谷」と対戦した韓国投手は”激レア”

 聯合ニュースは大谷が「前後を知っている」と答えた内容をなんと「長い歴史を知っている」と”意訳”。大谷を「打者と投手を並行する大谷はMLBの歴史を新たに記すスーパースター」紹介しつつ、過去の韓国との対戦歴を記した。

「2015年プレミア12準決勝(日韓戦)で先発として登板した大谷に7イニング1安打11三振を喫した」

一方でMBCは非常に穏やかな報道ぶりだ。大谷を「日本のエース」と紹介。この日の取材での”カメラの洗礼”に対しても余裕を持った姿勢で臨む様子を伝えている。さらには「WBCを意識するよりも普段通りにシーズンに体調を合わせている」とも。かつて韓国メディアにありがちだった強引な”煽り”はナシ、というところだ。

だが、ネットメディア「NEWS1」はかなり”前のめり”な報道ぶりだ。

「投手大谷は避けられるが…韓国の投手には”見慣れない”打者大谷」

日本の中日新聞が伝えた登板間隔予想「大会初戦(3月8日)の中国戦登板後、中6日で16日の準々決勝に登板する」という内容を引用。3月10日の韓国戦(東京ドーム)には登板しない模様と報じた。

それでも打者で出てくる大谷は恐ろしい、とする。

「韓国代表の15人の投手のうち、”打者大谷”と対戦したのはヤン・ヒョンジョン(KIAタイガース)のみ」

左腕の先発ピッチャーのヤンは2021年にレンジャーズに在籍。同年4月27日のデビュー戦の相手がエンゼルスだった。この時は6回の先頭打者として大谷が打席に立ち、ヤンは奇襲的なセーフティーバントを受けて出塁を許した。後続にも連打を浴び、メジャー初失点を喫している。

韓国代表では他にメジャー経験者が1人いるが、大谷との対戦はなし。一方、2打数無安打に抑えているリュ・ヒョンジン(ブルージェイズ)は、肘の手術後のリハビリのためメンバー外となっている。

ほんの短い質問の答えからも、次々とメディアが報じるほどに韓国での大谷への関心は高い。しかも本人は「楽しみ」と言っているだけなのに、一部メディアからはかなりの警戒ぶりもうかがえる。

余談だが筆者自身、サッカーのカタールW杯前に韓国のサッカー記者に「森保ジャパン評」を聞いたのだが、その時の評価がこうだった。

「うーんいい選手が多いんだけど、みんな75点という感じ。85点以上がいないんだよね。なんというか、大谷翔平がいない感じ」

え? サッカーの話でその例え? そんなに有名なの? と驚いたものだ。

大谷のこの日の「日韓戦コメント」を「SPOTV」は現地取材した。その際の動画はこちらに。韓国メディアが「長い歴史」と訳したくだり、たしかに本人は「前後」と言っている…。

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