産業機械メーカーの(株)トガシ技研[山形]が民事再生法を申請 負債56億円

トガシ技研の本社(TSR撮影)

 (株)トガシ技研(TSR企業コード:212044419、法人番号:2390001008217、鶴岡市丸岡字町の内309-1、設立1999(平成11)年2月、資本金1000万円)は2月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、保全処分および監督命令を受けた。申請代理人は関端広輝弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業、東京都千代田区大手町1-1-1)ほか8名。監督委員には上野保弁護士(元木・上野法律会計事務所、東京都港区虎ノ門1-1-20)が選任された。
 負債総額は債権者数21名に対して約56億円。
 ※TSR企業コード:212044419、法人番号:2390001008217

 1988年10月創業。産業用機械の設計・製造から組付、電気制御、プログラミングまで一貫して手掛ける体制を強みとし、産業用ロボット関連を中心に実績を重ねてきた。
 リーマン・ショック後には業況が悪化し債務超過へと転落したが、2011年頃から大手メーカーとの直接取引を含めた自動車関連の受注が拡大し、増収基調で推移。古河工場(茨城県古河市)と常盤木工場(山形県鶴岡市)に加え、2019年7月期には常盤木工場の隣接地にクリーンルームを備えた工場を開設し、増産体制を構築した。ところが2020年7月期は下半期以降「新型コロナウイルス」感染拡大の影響を受けて受注が失速。これを受けてクリーンルームを活用した不織布マスクの生産にも着手していた。
 2021年7月期は世界的な半導体不足を追い風に産業用ロボット関連が増産となったほか、マスクや足踏み式消毒液スタンドの受注も堅調に推移し、売上高は過去最高となる50億円を突破した。
 しかし、主力取引先だった(株)オフィスエフエイ・コム(TSR企業コード:262040085、法人番号:4060001014881、栃木県小山市)が2022年7月29日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したことで、同社に対する多額の焦付が発生。その後、融通手形取引や架空売上の計上が明らかとなり、対外的な信用が失墜した。
 2022年7月期の決算では架空売上を除く実態を伴った取引のみを計上した結果、売上高は約7億6800万円まで急減し、約3億2900万円の赤字を余儀なくされ、再び債務超過に転落。金融機関から約31億8000万円の手形買戻請求を受けるなかで対応策を模索してきたが、自力での経営再建を断念し、今回の措置となった。

 今後はスポンサー企業を選定し、事業譲渡を行う方針。

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