「まだコロナ終息していない」「せっかくなので外そうかな」“異例の学生生活”マスク着脱にもそれぞれの思い…静岡・県立高校で卒業式

門出の春です。静岡県内の多くの県立高校では2月28日、卒業式が行われました。マスク着用義務が解かれた今回の卒業式…生徒たちはどのように判断し、晴れ舞台を迎えたのでしょうか。

静岡市葵区の科学技術高校です。3年生355人が晴れの日を迎えましたが、壇上で卒業証書を受け取ったのは、2023年も代表者2人のみです。コロナ禍となり、4度目の卒業式。

<科学技術高校 小野聡校長>

「この3年間は新型コロナウイルスの影響をさまざまに受け、これまでにない異例の高校生活を余儀なくされました」

感染対策のため、2023年も卒業生入場と国歌・校歌斉唱を取りやめました。

<卒業生代表 伊東晃希さん>

「みな、マスクをしているせいか、どこか話しかけづらい雰囲気が漂っていて、距離が遠い気がして話しかけられなかったり、始まりは不安になることが多かったと思います。しかし、日常生活を通し、多くの交流を重ね、徐々に打ち解け合っていき、かけがえのない多くの友人にも恵まれました」

政府がマスクの扱いについて「外すことを基本」とする方針を示したことを受け、科学技術高校は着用を個人の判断に委ねましたが、ほとんどの卒業生がマスクを外しませんでした。

<科学技術高校 中島洋己総務課長>

「生徒に関しては(マスクを)外している生徒が1割もいなかったのかなと思うんですけど0ではなかった。ただ、式典で主役になるところ、発声をしたり壇上に上がる場合は、こちらから強くお願いをしてマスクなしでやっていただくようにお願いをしました」

教室に戻ると、生徒たち1人1人に卒業証書が授与されました。2023年の卒業生は、2020年4月に入学。緊急事態宣言が出され、入学直後に2か月も休校となったほか、ほとんどの行事が新型コロナの影響で中止を余儀なくされました。

<科学技術高校 山本毅教諭>

「卒業証書の名前を呼ぶときに一人一人の顔を見ましたけど、こんな顔してたんだって、ちょっとした驚き。一回みんなでマスクを外して学校の空気を吸ってみますか」

マスク着用をめぐり、うれしさと不安が入り混じる中で迎えた旅立ちの日。

<卒業生 杉山嘉音さん>

「まだ、コロナが終息していないので、感染したら家族に迷惑がかかっちゃうかもしれないというリスクもあったので、今回はマスクを着けて卒業式に臨みました」

<卒業生 川口奏汰さん>

「僕はせっかくなので外そうかなと思いました。文化祭とか普通だったら他校の生徒も来て楽しくなると思うんですけど、人数制限で他校の生徒は来られなくて友達も呼べなくなって、そういうのが悔しいなと思います」

コロナ禍で我慢することが多かった3年間も、この日で最後です。

<卒業生 山口雄飛さん>

「いままでとても友達に恵まれたなと思っています。保護者が支えてくれたおかげで今の自分があると思うのでとても感謝しています」

仲間との絆を胸に、最後は心からの笑顔で、高校生活の締めくくりを楽しんでいました。

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