憲法改正、是か否か 記念日に神奈川県内でも各地で集会

■【改憲派】国民の生命、財産守れるか 保守系団体「日本会議」が主導して設立した「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の神奈川県組織「憲法改正を実現する神奈川県民の会」は3日、横浜市神奈川区内で「神奈川憲法フォーラム」を開き、憲法改正の早期実現への取り組みを強化する方針を確認した。

 県民の会の斎藤文夫共同代表は「今の憲法は敗戦下で占領軍に押しつけられたものだ。国民の生命、財産を本当に守れるのか。平和憲法を守りながら、時代に即した憲法を自らの手で作り上げていかなければいけない」とあいさつした。

 安倍晋三首相はビデオメッセージを寄せ、「憲法は国の理想の姿を語るもの。憲法改正には国民の理解を深める努力が欠かせない。新しい時代にふさわしい憲法を作り上げるために力を尽くしていく」と述べた。

 フォーラムでは県内40万人分の署名活動の年内達成や、憲法改正の実現を求める意見書の地方議会での採択を目指す運動の継続を確認。「各党と国会議員に、まず緊急事態条項新設を目的とする『改憲発議、国民投票の早期実施』を速やかに実現するよう要望する」などとする大会声明を承認した。■【護憲派】武力行使辞さぬ国になる 法曹団体や平和団体などでつくる「神奈川憲法会議」(代表委員・森卓爾弁護士)は3日、横浜市保土ケ谷区内で「憲法改悪を許さない5・3県民のつどい」を開いた。

 講演した広渡清吾東京大名誉教授は、憲法改正の発議要件を現行の「両院の3分の2の賛成」から「過半数以上」に緩和することなどを盛り込んだ自民党の憲法改正草案を、「政権をチェックする憲法の役割をなくす。憲法という考え方が分かっていない」と批判した。

 昨年9月の安全保障関連法の成立についても、広渡さんは「憲法を内側から侵食する事態。武力行使を辞さない国になる」。改憲に意欲を見せる安倍晋三首相の発言にも触れ、「国民への挑戦状」と指摘した。

 広渡さんは一方で「市民運動が選挙や政権構築に向けて、野党と連携するという歴史的な新しい局面を迎えている」とも説明。「安保法制廃止、立憲主義回復のために、新しい政権の樹立が必要。未参加層にもアピールし、問題意識を広めることが重要」と、連携の拡大を呼び掛けた。参加者は終了後、周辺をデモ行進した。

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