伊勢崎晃一朗さん日本陶磁協会賞 備前焼作家、郷土勢20年ぶり

伊勢崎晃一朗さん

 日本陶磁協会(東京)は2月28日までに、2022年度日本陶磁協会賞に備前焼作家伊勢崎晃一朗さん(49)=備前市伊部=を選んだ。陶芸界でその年の最も優れた作家に贈られる賞で、郷土勢の受賞は20年ぶり。

 伊勢崎さんは東京造形大で彫刻を学んだ後、米国の陶芸家ジェフ・シャピロさんと、備前焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)の父、伊勢崎淳さんに師事。岩肌を写した力強い「打文」、ふくよかな「孕(よう)」シリーズなど、無釉(ゆう)焼き締めの土の豊かな表情を引き出す表現を追求してきた。同会によると、伝統的な技法の中で斬新な造形に挑戦し続ける姿勢が評価されたという。

 伊勢崎さんは「一つの作品ではなく、これまでの制作活動に対して賞をもらえたことがうれしい。今後も見る人の感情に作用するような作品を作り続けたい」と話した。

 同賞は1954年度に創設。岡山県からの受賞は、2002年度の金重有邦さん以来9人目となる。

 10月に東京の古美術店「壺中居(こちゅうきょ)」で受賞記念展が開かれる予定。

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