劇団四季ファミリーミュージカル『ジョン万次郎の夢』全国ツアー公演 取材会レポ

自由劇場(東京・竹芝)にて ファミリーミュージカル『ジョン万次郎の夢』が3月11日より上演される。
今回は劇団創立70周年記念公演として、2014年以来9年ぶりの上演。

『ジョン万次郎の夢』は、幕末、日本人で初めてアメリカへ渡ったとされ、日米の架け橋として幾多の業績を残した中濱万次郎(ジョン万次郎)の半生を描いた四季オリジナル のファミリーミュージカル。
近代日本の大転換期に生き、持ち前の好奇心と不撓不屈の精神で未来を切り開いた万次郎。そんな彼の生き様は、グローバルな世界に生きる現代人にも通じるものがあるはずだ。
本作は 2020 年に全国公演が予定されていたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により全公演が中止に。3年の時を経て、満を持しての上演となり、4月29日からは全国各地を巡演。

もうすぐ公演、オンライン取材会が行われた。登壇したのはジョン万次郎役の島村幸大と政所和行。
この『ジョン万次郎の夢』、初演は1974年、『ジョン万次郎海を渡る』として上演され、その後回を重ね、628回上演。この作品の見どころについて島村幸大は「三木たかしさんの楽曲」を上げた。「津軽海峡冬景色」、「時の流れに身をまかせ」など数多くのヒット曲を生み出しているのは周知の通り。この作品ではダイナミックな楽曲が物語に厚みを与えている。「日本のシーン、アメリカのシーン、細かく表現しています」と島村幸大。「全曲、楽しくって。個人的に好きな曲は、アメリカ人に助けられたとき。他の漁師に説得するシーンですね。閉ざしている心を広げていく万次郎の前向きさが感じられて、すごく好きです」とコメント。政所和行は「見どころは3つ」と言う。「一つは時代物」、衣装が多彩、これだけ見ても楽しい。「二つ目は序盤で漁船を人力で動かしています」4名のスタッフが船を動かしているそう。この船の動きに注目。「三つ目は荒れ狂っている海の表現」これを政所和行はさらに「様式美」と語る。

またジョン万次郎の人物像については島村幸大は「自分の信じたことに対して信念を持つ人」と語る。波瀾万丈な人生を送った人物。政所和行は「好奇心旺盛で前向きで人懐っこい」と分析。「だからアメリカ人に受け入れられた」と言いつつ「日本人らしい部分、慎み深く、勤勉で恩を忘れない…(つまり)二つの色を持った方」と語る。物語は14歳から33歳まで、2時間ほどで見せなければならない。「心の向け方、目線。トライしています」とコメント。役作りについては島村幸大は「調べるとすごく膨大な…」ジョン万次郎に関する文献は数多く残されている。14歳で船の乗り、漂流の果てに無人島に辿り着き、そこから渡米し、帰国して日本開国のために尽力。「前向きに、ポシティヴに演じるように、前のめり、前のめりで。興味を持っていただけるように工夫して演じます」とコメント。政所和行も「文献は何冊か読ませていただきました。感受性が豊かだったと思う。(だから)感受性が豊かになるように、肌で感じるようにしてきました」と普段から役に対して向き合うようにしている様子。

また時代は幕末、この時代を取り上げている作品は数多あり、小説、映画、テレビドラマ、舞台、ゲーム、日本人ならそのどれかに触れているはず。政所和行はこの時代について「人の心の美しさ」と言う。「国の存亡がかかっている不安定なぎりぎりの時代。日本という国を守っていくために本気で向き合う人たちがいた。国を本気で想っているところが魅力」と語る。島村幸大は「幕末は日本の歴史の中で資料がたくさん残っている。一人一人が信じているものがたとえ違っても、ものすごく情熱を持っている時代。ただ、それっぽくやってしまうと幕末が薄くなってしまう、それだけは絶対に避けたい…信じる力を受け取ってほしいです」と熱く語ってくれた。

一度は中止になったこの公演、キャストも3年前とは違い、一部のキャストが変更になっている。政所和行は「悔しい思いをしたと思う。仲間の分も背負って皆に恥じないように」と言い、島村幸大も「ほぼ一緒です。(僕も)思いを全部背負って挑んでいます」と決意を新たに。ただ、コロナ禍は終わっているわけではなく、観劇の機会は確かに少なくなっているのが現実。島村幸大は「観劇時間は減っていますが、『どうしても観たい』と思って行くと演者さんの表情がダイレクトに伝わる、生の舞台の魅力、思わず拍手。肌で感じていただきたい、万全の体制で本番を迎えますので」と言い、政所和行も「同じ空間を共有、エネルギー、熱を肌で感じることができるのは舞台ならでは」と語る。
そしてタイトルの『ジョン万次郎の夢』にちなんで「夢」について。島村幸大は「9年ぐらい前にこの作品に携わっていましたが、万次郎役、役に対する憧れがありました、この役を演じるのが夢でしたが、叶えつつあります。でも、もっといろんな役をやりたいという欲が出てきました。捻くれている役もやってみたいなと言うビジョンが出てきました」といえば、政所和行は「海外に行きたい、世界一周したいな」世界一周、壮大な夢。「未知のものに触れたい、観光地じゃないところに行きたい。アメリカの田舎町とか、カントリー、テキサス?アメリカには行きたいですね」と世界で見聞を広めたジョン万次郎に”感化”された様子。

最後にメッセージ。
島村幸大「都市部以外での公演は劇団の理念の一つ。作品の情熱を全国の皆さんにお届けします」
政所和行「ご縁があって自分の地元の東海エリアで公演できる嬉しさがあります。前向きなエネルギーに満ちているこの作品の感動を届けます」

公演は3月11日より自由劇場にて。その後、全国を回る。

<公演紹介記事>

公演概要
日程・会場:2023年3月11日〜4月2日 自由劇場
4月29日より全国を巡演。詳細は公式サイトを。
全国ツアー情報:https://www.shiki.jp/

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