明治座創業 百五十周年記念『壽祝桜四月大歌舞伎』取材会レポ

150周年の直前となる2023年4月公演は中村梅玉、中村又五郎、中村芝翫、片岡孝太郎、松本幸四郎、片岡愛之助、という豪華な顔合わせによる明治座創業百五十周年記念『壽祝桜四月大歌舞伎』。 昼の部は、義太夫狂言の三大名作の一つ『義経千本桜 鳥居前』、酒豪同士の飲み比べや問答が壮快な 『大杯觴酒戦強者』、江戸の風情溢れる舞踊『お祭り』と、祝祭感溢れる多彩な演目で。夜の部はうってかわって、 四世鶴屋南北の傑作『絵本合法衢』を通しで上演し、悪の魅力を存分に楽しめるプログラムとなっている。 春の足音が近づいてきた2月末、都内で合同取材会が執り行われた。登壇したのは中村梅玉、中村又五郎、中村芝翫、片岡孝太郎、松本幸四郎、片岡愛之助、そして (株)明治座 代表取締役社長 三田芳裕。また、取材陣だけでなく、一般のお客様も観覧。大きな拍手。

まず、三田社長より挨拶。「豪華な顔ぶれ」と目を細めた。「創業は明治6年」今年の4月に150周年を迎える。
それから順番に挨拶。

中村梅玉「明治座さんの150周年の一番最初に出させていただきます」と挨拶。「今回は令和の時代に歌舞伎の第一線で活躍している方々と。個人的には久しぶりの明治座、(150周年に)ふさわしい公演に」

中村又五郎「前の明治座さんには本当にお世話になりました…明治座で歌舞伎がたくさんやることを願っています」
中村芝翫「お祝いの公演に出させていただくこと嬉しくありがたい、芝翫になってからは初めての明治座出演でございます。明治座自体に出させていただくのは2回目。今回は昼と夜と出演します。力を合わせて頑張ろうと思っています」
片岡孝太郎「明治座さん、2度目、節目節目に出させていただいてます。息子も一緒に出させていただき、ありがたいです。新しいものを一緒に作れれば」
松本幸四郎「昼、夜共に出させていただきます。この節目に…この大きな公演に出させていただく…プレッシャー、色々な挑戦、昼、夜どちらも初役で緊張しております。明治座さんは創業150周年。私は誕生50年(今年の1月に50歳)」
片岡愛之助「明治座さん150周年に出演させていただき、記念の年、本当にありがたいことです」
4月28日に創業150周年を迎える明治座、お祝い公演。
そして、質疑応答。明治座の思い出についての質問。中村梅玉は1946年生まれ。「明治座初舞台、昭和31年。お正月に歌舞伎座で初舞台を踏み、3月に父(中村歌右衛門)の舞台で明治座での初舞台を経験いたしました」と当時に思いを馳せる。楽屋の地下には食堂があったそう。また「父と新派との共演もありました」と語る。昭和、戦後の明治座を知る人は数少ない。「父との最後の共演も明治座…私の大好きな劇場」と語る。
中村又五郎は「立て直す前の明治座さんに、本当によく出させていただきました。楽屋が入り組んでいた思い出が…朝から晩まで。楽屋、舞台、上手、下手と一生懸命走っていた思い出があります、素敵な劇場」と出演当時を振り返る。また、「地下の食堂があって、舞台に座ってると、下からいい匂いがする(笑)」と楽屋話も飛び出した。「懐かしいです」と笑う。

中村芝翫は「明治座での舞台経験はないのですが、父が明治座にお世話になっていました。いろんな話を晩酌しながら話していました」とコメント、そのほか様々なエピソードが飛び出した。
見どころ・注目してほしいところについて中村梅玉は『大杯觴酒戦強者』で井伊直孝、『お祭り』で鳶頭梅吉をつとめる。「『大杯觴酒戦強者』は河竹黙阿弥が市川左團次さんに書かれたもので、黙阿弥の世話物とは一風変わったお芝居。お酒に強い2人が、お酒を飲んでいろんな話をするという内容なので、共演する幸ちゃん(中村芝翫)に負けないようにお酒を飲みたいと思います。『お祭り』に関しては、明治座の150周年をお祝いできる演出を考えております。お祝いを口上でいうとか、そういう趣向も考えています。いつもの『お祭り』とは別の楽しみ方をしていただけたらと」と語る。

中村又五郎は「私は夜の部『絵本合法衢』に出させていただきますが、とにかく幸四郎さんが悪い役。私は良い役です」と笑わせ、「勧善懲悪ではありますが、悪は悪の、人間の性みたいなものをご覧になっていただければ」と話した。中村芝翫は、襲名後初の明治座出演。「『大杯觴酒戦強者』は、初代市川左團次さん、たくさんの演劇の改革をされた方が演じたということもあり、演出もとてもリアルなものもありながら、世話であったり義太夫であったりする、歌舞伎の醍醐味が凝縮された作品だなと思います」と語った。
初代市川左團次は実は明治座にゆかりがある人物。明治26年(1893年)には明治座を新築、座元(劇場所有者兼興行総責任者)として近代的な劇場経営を行った。新作物中心の興行を推進、明治32年(1899年)明治座で翻訳家で新聞記者の松居松翁作による『悪源太』初演、旧来の慣例を破って芝居関係以外の者による脚本を採用。また、温厚な人格者として知られていた。明治37年(1904年)5月明治座『敵国降伏』の漁師・弥藤太を最後の舞台として、同年8月死去。

片岡孝太郎は「絵本合法衢」でうんざりお松、弥十郎妻皐月、松本幸四郎は左枝大学之助、立場の太平次を演じる。それぞれが演じる役については、片岡孝太郎は「悪い人である幸四郎さんの彼女になり損ねて殺されてしまう女性と、良い人の又五郎さんの奥さんの役、両極端の役をやらせていただきます。松本幸四郎さんバージョンの『絵本合法衢』ができあがると思いますので、それをすごく楽しみにしております」と語る。
「絵本合法衢」、過去に初代白鸚、2代目白鸚が演じ、近年は片岡仁左衛門が当たり役に。松本幸四郎は悪事を重ね、人を人とも思わず斬り捨てる大学之助と太平次を演じることに松本幸四郎は「悪い人です(笑)。あらゆるジャンルの歌舞伎がありますが、それが凝縮された演目が詰まっていると思います。色とりどりの匂いと色を楽しみ、刺激、悪い人を楽しんでもらいたい」と述べた。高麗屋に伝わる台本を参考にしつつ「新たな芝居を作り上げたい」と意欲的な発言。

「義経千本桜 鳥居前」で、佐藤忠信実は源九郎狐を初役で勤める愛之助は「芝翫兄さんに習って勤めさせていただきます。150周年ということで立ち廻りも含め演出も少し変わったものに、という思いもございます。皆様ぜひ明治座へ足をお運びください」と語る。

明治座150周年の4月は華やかかつ賑やかな雰囲気に包まれることであろう。フォトセッションは鏡開きで。なお、「鏡」は円満を、「開く」は末広がりを意味するので、「鏡(樽)を開くことによって、これからの運が開ける」という意味に。「富士錦」、富士錦酒造は、創業元禄年間。富士山の地下でろ過された伏流水を使用。歴史ある明治座にふさわしい樽酒で鏡開き、公演の成功を予感。初日は4月8日。

<明治座150周年記念インタビュー記事>

<出演者&演目公開記事>

公演データ
日程・会場:4 月 8 日(土)初日~25 日(火)千穐楽 明治座
※休演日 4 月 17 日(月)
製作 松竹株式会社
主催 株式会社 明治座
公式サイト:https://www.meijiza.co.jp

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