石木ダム収用地で初工事 長崎県、買受権との関連否定

現場の木にしがみつく女性と寄りかかる男性(左)。重機に座り込む住民もいた(右奥)=川棚町

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は28日、土地収用法に基づき強制収用した事業用地で工事に着手したと明らかにした。これまでは任意取得した土地で進めてきており、収用地では初めて。反対住民は現地で作業を阻止しようとするなど抵抗した。
 県河川課によると、2021年9月に本体工事として初めて着工したダム堤体左岸部の一部に収用地があり、今月20日ごろから掘削を始めた。19年に収用裁決された山林で、所有権は既に国に移っている。家屋や耕作地はない。
 収用地について、同法は事業認定告示日から10年後に「全部を事業の用に供しなかったとき」に買い戻す権利(買受権)が生じると規定。石木ダムは9月で10年となるため、昨年12月に朝長則男市長が懸念し、大石賢吾知事に収用地での着工を迫った経緯がある。

ダム本体建設予定地

 県は工事が進んでいるとして「買受権は発生しない」との見解。今回の着工については「工程に沿って進める中で、そこに収用地が含まれていた。買受権が発生するから着手したわけではない」と関連性を否定した。市水道局水源対策・企画課は「県から詳細な説明を受けておらず、買受権にどのような影響が出るか現時点では分からない」とコメントした。


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