【日本の春】3月~5月のまつりと行事を体験してみませんか?

冬の寒さが和らいで陽の光がまばゆく感じられ、草木が芽吹き始めると、日本に春が訪れます。こうした春の様子を、日本人は「春爛漫(はるらんまん)」と表現し、希望に満ちた前向きな季節ととらえています。日本の春のまつりや行事をご紹介しましょう。

3月のまつりと行事

お水取り

毎年3月1日から2週間にわたり、奈良市の「東大寺二月堂(とうだいじ・にがつどう)」で行われる「お水取り(おみずとり)」は、仏の前で罪を懺悔(ざんげ)し、平和な世界などを祈願する行事。

8世紀から一度も途絶えたことのない古い仏教行事で、お水取りが終わる頃には暖かくなることから「春を告げる行事」として知られています。

お水取りのクライマックスは、3月12日の深夜(13日の午前1時半頃)。直径1メートルほどの大きな籠松明(※1)がたかれ、若狭井(わかさい)という井戸から本尊である十一面観音(じゅういちめんかんのん)に供えられる「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式が行われます。

ダイナミックで見ごたえがありますが、この日は大変混雑して入場規制があります。12日以前でも毎晩19時には大鐘がつかれ、その合図で松明が毎晩灯され、幻想的な雰囲気が味わえます。見学したい方は公式HPをご確認ください。

ひなまつり

3月3日の「ひなまつり」は、「ひな人形」と呼ばれる貴族の衣装を着た華やかな人形を飾り、女の子のすこやかな成長を願う行事です。

女の子にいる家庭では、ひな人形とともに桃の花を飾り、白酒(※2)やちらし寿司(※3)、蛤(はまぐり)という二枚貝の汁物などを家族そろって楽しみます。

「人形の寺」として知られる「宝鏡寺(ほうきょうじ)」(京都市上京区)では、毎年3月1日~4月3日、歴代の女性皇族が持っていた人形などが展示されます。

3月1日(11時~11時半)には、ひな人形が飾られた本堂で、日本舞踊や琵琶(びわ)と歌の生演奏なども披露されます。

4月のまつりと行事

花見

3月の下旬から、暖かい南の地方から「桜前線(さくらぜんせん)」と呼ばれる、桜の開花情報が伝えられます。一般的に、日本人が「花見」というときは桜の花を見ることを指し、各地の桜の名所が人気です。

たとえば、京都市伏見区の「醍醐寺(だいごじ)」は、1598年春に、当時の最高権力者である豊臣秀吉(とよとみひでよし)が、1000名を超える臣下を従えて盛大に催した「醍醐の花見」として知られた寺です。

現在でも、毎年4月第二日曜日に、「豊太閤花見行列(ほうたいこうはなみぎょうれつ)」が開催されています。世界文化遺産の境内にはさまざまな種類の桜が咲き、多くの見物客でにぎわいます。

入学式

欧米では9月に行われる「入学式」が、日本では4月の代表的な行事となっています。国の会計年度も4月から、企業が学校を卒業した新入社員をまとめて迎える「入社式」も4月。

4月をスタートとするのは日本独自の習慣といえるでしょう。お祝いのセレモニーである「入学式」の様子は、校庭で美しく咲いた桜の花とともに、テレビニュースなどで放映されます。

5月のまつりと行事

流鏑馬神事

毎年5月3日、京都市左京区の「下鴨神社(しもがもじんじゃ)」では、5月15日から行われる「葵祭(あおいまつり)」の前の儀式として、疾走する馬に乗りながら、弓矢で的を射抜く「流鏑馬神事(やぶさめしんじ)」が行われます。

昔の貴族の衣装をまとった射手が、35メートルの馬場に100メートル間隔で設置された3つの的を順に射抜く姿は、勇壮そのもの。13~15時半までで、見学は無料です。(写真が鎌倉)

葵祭

葵祭」は、祇園祭・時代祭と並ぶ、京都の三大まつりの1つ。京都御所から下鴨神社・上賀茂神社へ続く8キロメートルの道を、優雅な衣装をまとった総勢約500名とともに、馬数十頭、牛、牛車なども加わった行列がねり歩きます。10時半に京都御所を出発し、上賀茂神社に到着するのは15時半ごろ。雨天順延です。

端午の節句

5月5日は「端午の節句(たんごのせっく)」と呼ばれ、男の子の成長を祝う日です。1948年から、この日は国民の休日として制定され「こどもの日」とも言われています。

男の子のいる家では、生命力が強く出世の象徴とされる鯉(こい)に由来した「こいのぼり」を、家の外に飾ります。

また、災厄をはらうため、薬草のショウブの葉を風呂に入れた「しょうぶ湯」につかり、柏(かしわ)の葉に包んだ「かしわ餅」という、小豆を煮て砂糖を加えて練った「あん」の入った和菓子を食べる風習があります。

この日、「しょうぶ湯」は町の銭湯(※4)でも体験できますし、「かしわ餅」はコンビニでも買うことができます。

神田祭

神田祭(かんだまつり)」は、東京都千代田区の「神田明神(かんだみょうじん)」で、5月の中頃に6日間に渡って行われるまつりです。京都市の八坂神社の「祇園祭(ぎおんまつり)」と大阪天満宮の「天神祭(てんじんまつり)」と並ぶ、日本三大まつりの1つとされています。

なかでも、5月15日に近い土曜日に行われる「神幸祭(しんこうさい)」は、朝から夕方まで、神田、日本橋、丸の内、秋葉原などの町を、華麗な神輿(みこし)とともに大行列が巡行し、多くの見物客を楽しませてくれます。

© 株式会社MATCHA